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第1節 

1 地球環境保全に関する国際的な連携の確保

(1) 多国間の枠組みによる連携
ア 国連
(ア) CSD
 我が国は、1993年(平成5年)に策定した「『アジェンダ21』行動計画」を着実に実施するとともに、持続可能な開発委員会(CSD)に積極的に参加し、地球サミットの合意事項の効果的な実施に貢献していく。
(イ) UNEP等
 国連環境計画(UNEP)は、これまで国際的な協力を得て、数多くのプログラムを12分野に構成して積極的に推進してきたが、1995年(平成7年)5月の第18回管理理事会において、5分野に抜本的な再編成が実施された。UNEPの新しい体制での活動が、より効果的に機能し、世界的な環境保全に資するよう、我が国の有する環境分野での多くの経験と豊富な知見を生かし、今後とも積極的に貢献していく。
 さらに、国連アジア・太平洋経済社会委員会(ESCAP)が昨年11月に開催した環境大臣会議において採択された「1996-2000年の環境上健全で持続可能な開発のための地域行動計画」等の効果的な実施に向けて我が国としても積極的に貢献していく。
 また、UNEP国際環境技術センターについては、これまで、同センターの環境保全技術に関する情報の収集・整備及び発信への協力等を行ってきているが、今後ともこのような協力を継続するとともに、関係府県市等と協力しつつ同センターの円滑な業務の遂行を積極的に支援していく。
イ OECD及びIEA
 1996年(平成8年)2月のOECD環境大臣会合の成果を踏まえつつ、我が国としては、8年度においても公害を経験しそれを克服してきた経験を生かしつつ、OECDの環境分野における活動に積極的に参画・貢献する。
 気候変動枠組条約に基づく議定書交渉の進展に寄与するため進められているOECD/IEAコモンアクション・プロジェクトに対しても、積極的な参加を行う。
 IEAについても、気候変動問題への技術的対応に関するエネルギー研究技術委員会(CERT)の活動に積極的に参画していく。またOECD/IEA加盟24カ国が提示した気候変動技術イニシアティブ(CTI)を積極的に推進していく。
ウ WTO
 1996年(平成8年)12月に開催される第1回WTO閣僚会議において報告を行うことになっているWTOの「貿易と環境に関する委員会」に対して、我が国としては、貿易政策と環境政策を相互支持的にするとの目的を踏まえ、同委員会における議論に引き続き積極的に参加する。
エ APEC
 1995年(平成7年)11月、大阪での閣僚会議、非公式首脳会議において、アジア太平洋地域において環境問題を今後の長期的課題の一つとして取り上げ、適切に対処していく必要があると認識されたところである。我が国としても大阪会議で採択された行動指針を踏まえ、各フォーラム等における環境配慮を推進すること等により、APECの環境問題への取組の充実化に向け積極的な役割を果たしていく。
 例えば、エネルギーワーキンググループにおいては一昨年とりまとめた「3Eスタディ」を踏まえ、クリーン・コールテクノロジー等の環境負荷低減技術を推進し、また産業技術ワーキンググループにおいては、APECバーチャルセンター等を通じた環境技術情報の一層の交流を図っていくこととする。
 また、1996年(平成8年)7月にフィリピンが開催を予定している「持続可能な開発に関する大臣会合」が成果を上げられるよう、積極的に貢献していく。
オ 先進国首脳会議(G7サミット)
 過去のG7サミットにおいて環境問題は次第に重要性を増してきており、先進国間においても地球サミットの成果の効果的なフォローアップを通じた環境上持続可能な開発を確保することが重要との共通認識がある。我が国としては、地球サミットの気運を持続し、環境問題への対応で国際的なイニシアティヴを発揮していくことが重要と考えており、積極的な役割を果たしていく。
カ アジア・太平洋地域
 アジア・太平洋地域は世界人口の過半数を擁し、多様な自然資源に恵まれているが、ダイナミックな経済成長に伴い、人口、貧困、都市環境等、21世紀に向け持続可能な開発を実現していく上で、数多くの課題を抱えている。これらの課題の克服のためには、地球環境保全のために地域における環境政策の連携を図り、地域協力を推進していくことが重要である。
 環境庁は、地球サミットにおける合意事項の実施に向けた地域環境協力の在り方を議論する「アジア・太平洋環境会議(エコ・アジア)」を1996年(平成8年)以降も継続開催するとともに、エコ・アジア'93で実施が合意された「アジア・太平洋地域の環境と開発に関する長期展望プロジェクト」を地域協力の下に積極的に推進する。また、「環日本海環境協力会議」の開催を通じ、北東アジア地域の環境保全に関する政策対話の強化に努める。
 個別分野に関しても、環境庁は「地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」を今後とも開催するとともに、域内各国の酸性雨測定局のネットワーク化を図る「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク構想」を推進するほか、域内の研究協力を推進し各国の地球環境問題への対処能力の向上を図る「アジア・太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)」の暫定事務局として積極的貢献を図っていくこととしている。
(2) 二国間の枠組みによる連携
 日米環境保護協力協定に基づくプロジェクトについて、情報交換等の協力を推進するほか、日・EUにおける環境協力、日ソ環境保護協力協定に基づく活動、日中及び日韓環境保護協力協定に基づく協力活動、日独科学技術協力協定に基づく環境保護技術パネルの活動、並びに各国との科学技術協力協定に基づく共同研究・調査等の協力活動を進める。
 また、天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)の保全・レクリエーション・公園専門部会における情報交換及び専門家の交流を引き続き行っていく。
(3) 国際的な連携の確保に資する海外広報の推進
 諸外国の環境政策の充実及び我が国全体に対する正しい理解の促進に資するため、我が国が有する公害問題とその対策に関する多くの知見や現在の我が国の環境問題に対する取組を的確な情報として提供し、国際的な連携の確保に資することが重要である。特に、地球環境保全に関する我が国のイニシアティヴを示すためにも、海外広報を一層積極的に行っていくことが必要となっている。このため、「環境白書」(Quality ofthe Environment in Japan)等定期刊行物、国際的に要望の高い行政資料の英文版、目的に応じた海外広報用資料などの作成・配布を通じ、環境問題に対する我が国の取組につき積極的に海外広報を行っていく。

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