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第5節 化学物質の環境リスク対策

(1) 「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に基づく新規化学物質の審査を行うとともに、既存化学物質の安全性を点検するための作業を推進する。
(2) また、平成元年度に開始した第2次化学物質環境安全性総点検調査等の調査を引き続き実施し、化学物質の環境残留状況等を把握してその危険性を評価することにより、これらの化学物質による環境汚染の未然防止に努める。
 この他、OECD化学品グループにおいて現在進められている高生産量既存化学物質(HPVC)の点検作業に引き続き積極的に参画していくとともに、特定の化学物質のリスク削減活動、安全性試験手法の開発などの化学品プログラムの諸活動に参画していく。
(3) さらに、総合的・予見的な政策を展開していくとともに化学物質の利用拡大に伴う環境問題に的確かつ迅速に対応し、化学物質による環境汚染の未然防止を図るため、生態系への影響の観点を含めた環境リスクの評価や潜在的に有害な化学物質の環境放出量を把握する制度のあり方の検討を実施するとともに、製造・使用の各段階から複数媒体に放出される多種類の化学物質について環境リスク評価の手法、環境保全のための制度的あり方及び化学物質の毒性の予測手法の開発等を検討する。
 また、化学物質の総合的な対策に資するため、引き続き化学物質を総合的に管理する手法や化学物質の安全性情報の整理・体系化、安全性に関する試験・評価方法の確立等の基盤整備を実施するほか、化学物質に関する国際協力を実施するとともに、レスポンシブル・ケア活動をはじめとする産業界の自主的な化学物質管理をさらに促進させるよう努める。
(4) 「農薬取締法」に基づく農薬の登録保留の基準については、引き続き作物残留に係る基準及び水田で使用される農薬についての水質汚濁に係る基準の設定を行う。また、各基準の設定等を効率的に行うために必要な基礎的な知見の集積及び農薬の安全性に関する情報管理のシステム化についても引き続き実施する。
 また、環境汚染防止対策の徹底を図るため、環境中に残留する農薬の実態調査等を行うとともに、農薬の生態影響に関する調査研究等各種調査研究を引き続き実施する。さらに、新たに農薬の環境中濃度を事前に推定する手法の確立のための調査及び天敵農薬の環境影響についての調査研究を実施する。これらの調査結果等を踏まえ、農薬の安全かつ適正な使用の一層の確保を図る。

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