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第3節 

2 民間の活動

(1) 企業の活動
 公害防止装置を始めとする環境保全技術の多くは、政府の規制・指導、国民意識の高まり等に応じて、民間企業によって開発されてきたものである。また、開発途上国への技術移転においては、直接投資等、民間企業が果たす役割も大きい。地球サミットにおいて技術移転が求められ、また、我が国の国際社会への貢献に対する期待が一層強まる中、民間による環境保全技術移転をさらに促進することが課題になっている。
(2) 民間団体の活動
 途上国との協力の推進や、国際協力の普及啓発において、民間団体の果たしている役割も大きい。(財)自然環境研究センター、(財)国際湖沼環境委員会、(社)海外環境協力センター、(財)オイスカ等の公益法人や、日本国際ボランティアセンター、曹洞宗国際ボランティア会等の任意団体をはじめとする多くの団体が、政府レベルから草の根レベルまでの環境保全プロジェクトの実施、環境協力に関するシンポジウム、講演会、セミナーの開催等により国際環境協力の推進に取り組んでいる。環境基本法においては、民間団体による地球環境保全等に関する国際協力の重要性がうたわれており、こうした民間団体の活動は、環境事業団の「地球環境基金」、外務省のNGO事業補助金及び草の根無償資金協力、郵政省「国際ボランティア貯金」等による民間団体への支援が行われていることや国民の関心の高まりつれて、ますます活発となっている。
(3) 債務環境スワップ
 債務環境スワップ(DNS)は、開発途上国の債務をその途上国との交渉の上、国際的な活動を行う民間団体(NGO)が買い取り、債権を放棄する代わりにその政府に自然保護等の環境保全施策へ自国通貨建てでの支出を求めるものである。DNSは、先進国首脳会議等の国際会議において注目され、地球サミットで合意されたアジェンダ21においても、革新的資金調達手段の一つとして取り上げられている。1993年12月までに主に米国のNGOにより、中南米を中心に31件のDNSが実施されている。
 我が国においては、(株)東京銀行の米国現地法人及び(株)第一勧業銀行がそれぞれフィリピン、ガラパゴス諸島のDNSに対して債権寄付を決定した事例がある。また、DNSの円滑な推進等のためには、DNSに関する情報の収集・整理が重要であり、(社)海外環境協力センターによりDNS情報ネットワークが整備されている。

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