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第9節 

1 土地利用の適正化

 国土利用計画は、国土利用計画法(昭和49年度法律第92号)に示す国土利用の基本理念に即し、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、長期にわたって安定した均衡ある国土の利用を確保することを目的として策定する、国土の利用に関する最も基本的な計画であり、全国計画、都道府県計画、市町村計画から構成されている。
 全国計画については、土地政策審議会の答申を受け、第三次国土利用計画(全国計画)が閣議決定(平成8年2月)された。
 新たな全国計画については、国土全体としては土地利用転換の圧力が低下する状況を、国土利用の質的向上をより一層積極的に推進するための機会としてとらえ、?安全で安心できる国土利用、?自然と共生する持続可能な国土利用、?美しくゆとりある国土利用、といった観点を基本として、計画内容の充実を図るとともに、農用地、森林、道路、宅地等の利用区分別の規模の目標について、それぞれの利用区分をめぐる情勢の変化等を踏まえて、平成4年を基準年次、平成17年を目標年次として策定している。(第4-9-1表)
 今回の計画においては、地域類型別の区分として、自然環境の保全を旨として適正に維持すべき地域として「自然維持地域」を新設したほか、国土利用をめぐる近年の情勢の変化等を踏まえ、利用区分として、ゴルフ場やスキー場などの「リクリエーション用地」及び工場跡地や耕作放棄地などの「低未利用地」を新設している。
 今後、第三次全国計画の策定を受けて、都道府県計画の改定及び市町村計画の策定・改定が行われる予定である。特に市町村計画については、平成7年3月末現在1,809市町村において策定されているが、住民の意向を踏まえて策定する即地性の高い計画であることから、今回の全国計画の改定を契機として、計画の策定・改定、計画内容と管理運営の充実に向けて指導・支援を行うこととしている。
 土地利用基本計画は、国土利用計画を基本とし、5地域の指定及び土地利用の調整等に関する事項を内容として都道府県知事が策定するものである。本計画は、「都市計画法」、「自然公園法」等の個別法に基づく諸計画に対する上位計画として行政部内の総合調整機能を果たすとともに、土地取引については直接的に、開発行為については個別法を通じて間接的に規則の基準としての役割を果たすもので、これにより適正かつ合理的な土地利用が推進されている。5地域の指定状況(平成7年3月末現在)は、都市地域約980万ha、農業地域約1,733万ha、森林地域約2,552万ha、自然公園地域約535万ha、自然保全地域約10万haとなっており、5地域のいずれにも含まれないいわゆる白地地域は約24万haとなっている。

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