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第3節 

1 物の生産・販売・消費・廃棄

(1) 全般的な取組

 製品等による環境への負荷を生産−消費・使用−廃棄という一連のプロセスにおいて定量的、科学的、客観的に把握・評価する手法(ライフサイクルアセスメント:LCA)についても、関係省庁において国際標準化機構(ISO)における標準化のための検討状況を踏まえ、調査・研究、情報提供を行っている。
 環境保全型商品の一層の普及を促進するため、環境保全型商品を推奨するエコマークへISOにおける標準化等の動向を踏まえ、ライフサイクルを考慮した評価手法の導入を促すとともに、消費者及び事業者への普及・啓発を行った。
 廃棄物・リサイクル対策については、廃棄物の発生抑制、適正なリサイクル及び廃棄物の適正な処理を進めるため、各般の施策を推進した。
 地球温暖化防止に向けた取り組みを推進するため、家庭、オフィス等における消費行動を把握し、ライフスタイルに係る生産〜消費の構造モデルを構築し、製品選択や行為を誘導することによる二酸化炭素排出抑制対策を検討した。
 また、平成7年6月に、率先実行計画が閣議決定されたところであり、用紙類中のはじめて使用する木材パルプの使用量を現状比で、平成12年度までに概ね80%以下とすることに向けて努めることとすること、各事務所から排出される廃棄物の量(湿重量)を、現状比で、平成12年度までに概ね75%以下にすることなど、国自らが事業者・消費者として、消費及び廃棄段階での環境保全への配慮を進めることが示された。

(2) 農林水産業に関する環境保全施策

 農業においては、農業の持つ物質循環機能を活かし生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した環境保全型農業の全国的な展開を図るため、都道府県段階における環境保全型農業の推進指導、市町村段階における推進方針の策定及びその実践のための施設整備に加え、畜産由来肥料の高度活用を図るためこれら肥料の品質特性・肥料効果の確保等を実施するとともに、環境保全型農業の理解を深めるための地域の拠点施設を整備した。また、家畜ふん尿の適正な処理を図るとともに、耕種部門との連携、堆きゅう肥の需給調整を行う堆きゅう肥総合利用センターの設置、家畜ふん尿の処理利用施設の整備等を行った。
 さらに、生産基盤等の総合的整備の際に環境保全林、緑地帯等の自然環境の保全を進めた。
 林業においては、適正な保安林の配備及び維持管理を推進するとともに、森林計画制度に基づき、持続可能な森林経営を一層進めるほか、複層林施業や育成天然林施業等の適正な森林の整備を促進した。
 水産業においては、つくり育てる漁業を推進するため、「海の畑づくり」として、沿岸域の藻場・干潟の保全、ヘドロの浚渫等を実施するとともに、放流魚により自然界に生息する魚の遺伝的悪影響を生じさせないよう生態系保全型種苗生産技術開発事業を新たに実施した。また、養殖による環境への負荷の低減のため、残餌等の養魚堆積物の適正な処理技術の開発試験を実施するとともに、非給餌・省給餌養殖対象種の開発調査を行った。一方、「資源管理型漁業」を推進するため、資源の状況、利用実態等に係る調査・検討を行うとともに、資源の利用者である漁業者の合意に基づく自主的な資源管理体制を整備するための事業を実施した。

(3) 製造業に関する環境保全施策

 製造業においては、例えば鉄鋼業、紙パルプ産業等に対し公害対策指導を行うほか、省資源・再資源化推進のための環境整備事業を行う。中小企業の公害対策について、実態を把握するとともに、中小企業自身の研究開発を支援した。
 食品産業においては、生産段階では、製品の生産から消費・廃棄を通じた食品環境負荷評価のシステムの開発、食品工場排水汚泥・大豆加工食品副産物(オカラ)の利用効率化、食肉製造業等から排出される畜産物残渣のリサイクルの推進等を行った。流通段階では、食品流通業におけるリサイクルシステムの策定、外食産業における廃棄物の減量化、動植物性残渣の堆肥化・飼料化等の対策の推進、魚腸骨等の食品残渣を処理する魚腸骨等食品廃棄物処理施設整備等を行った。消費段階では、消費者の環境に配慮した食行動への取組促進を目的とした地域リーダー向けのマニュアル作成及びセミナー開催、廃食用油の需要開拓、PET容器の効率的リサイクルシステムの開発等を行った。また、これら各段階を通じ、共通的、基盤的対策として、環境対策の総合検討、リサイクル情報の提供、推進指導体制の整備、食品容器のリサイクル対策等を行った。
 また、食品産業における環境負荷低減のため、生物活性等を利用した再資源化技術の開発及び廃棄物の再生利用技術の開発をあわせて実施した。

(4) 建設業に関する環境保全施策

 建設業においては、住宅等の建築物に係る地球温暖化防止ガイドラインを策定するとともに、同様に、建設産業全体についても取り組むべき環境行動のあり方について調査検討を行った。

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