2 適正なリサイクルの推進
(1) 使用済製品の再使用の推進
容器包装の再使用を促進するため、環境庁、大蔵省、厚生省、農林水産省、通産省が連携して調査検討を開始した。
(2) 回収・再生利用の推進
平成3年10月に施行された「再生資源の利用の促進に関する法律」に基づき、再生資源の利用を総合的かつ計画的に進めるための基本方針が定められるとともに、関係省庁の連携のもと、特定業種(紙製造業、ガラス容器製造業、建設業)における再生資源の原材料としての利用、第一種指定製品(自動車、エアコンディショナ、テレビ受像機、電気洗濯機、電気冷蔵庫、ニカド電池を使用する機器である電動工具等20品目における構造、材料等の工夫、第二種指定製品(アルミ製及びスチール製の飲料缶、ペットボトル並びにニカド電池)における分別回収を容易にするための表示、指定副産物(鉄鋼スラグ、石炭灰、土砂、コンクリートの塊、アスファルトコンクリートの塊、木材)の再生資源としての使用の促進等の措置が講じられた。
環境への負荷の低減のため、廃棄物の再生利用、再生資源の回収・利用を促進することが必要である。
産業構造審議会においては、一般廃棄物の22品目、10業種の廃棄物について、リサイクル目標の設定、回収ルートの整備等事業者が遵守すべき廃棄物処理・再資源化に関するガイドラインを提示し、その進捗状況を点検するとともに、ガイドラインを平成8年3月、一部改定した。
さらに、リサイクルを推進するための設備の導入、技術開発に関して、エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業者活動の促進に関する臨時措置法に基づき、金融・税制上の支援を実施した。
毎年10月の「リサイクル推進月間」において、リサイクル関係省庁である経済企画庁、環境庁、大蔵省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省及び建設省は、リサイクルに関する国民の理解と協力を得るため、広範な普及啓発活動を実施することとしており、平成7年度においても、各種シンポジウムの開催、リサイクル推進功労者の表彰等を行った。
環境庁では、リサイクルに関する各種の調査研究の推進、リサイクルに係る普及啓発資料の作成・配布、民間団体によるリサイクル活動に対する地球環境基金を通じた支援を行った。通商産業省では、廃棄物の発生抑制・リサイクルの推進のために、ケミカルリサイクル技術等の開発を行った。
経済企画庁では、各都道府県に設置されている省資源国民運動地方推進会議を通じ、リサイクル活動団体への支援を行った。
厚生省では、地方公共団体における体制整備を推進するため、ごみの資源化ルートの構築や組織づくり等に関する事業に対して補助を行うとともに、平成5年度より5月30日から6月5日までの1週間を新たに「ごみ減量化推進週間」と定める等、廃棄物の減量化や再生利用を促進するための各種啓発活動を行った。
また、リサイクルの一層の促進を図るため、関係省庁において、リサイクルに関連する経済的手法のあり方についての検討がそれぞれ進められた。環境庁では、平成6年4月に公表した「リサイクルのための経済的手法検討会」報告書も踏まえさらに検討を進めた。
建設省においては、公共投資の拡大等によりますます増大すると予想される建設廃棄物について、発生の抑制、再利用の促進、適正処分の徹底を基本として、発注者及び施工者に対して指導を行っているほか、平成6年4月に策定した「建設副産物対策行動計画(リサイクルプラン21)」のフォローアップのための調査を実施するとともに、リサイクルモデル工事の実施、技術開発の推進等総合的な施策を実施した。
(3) 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の施行
一般廃棄物の大宗を占め(第1-4-5図)、かつ、再生資源としての利用が技術的に可能な容器包装について、市町村による分別収集及び事業者による再商品化等を促進するシステムを構築し、もって廃棄物の適正な処理及び資源の有効利用の促進を図るため、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」が平成7年6月16日に公布され(第1-4-6図)、同年12月15日に政省令が制定された。また、平成8年3月25日に同法3条に基づき、容器包装廃棄物の分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する基本方針が策定・公表された。
(4) リサイクル関連施設整備の推進
一般廃棄物について、廃棄物循環型のごみゼロ社会を目指し、21世紀初頭を目途に、廃棄物のほとんどすべてを、単に燃やして埋める処理から、極力リサイクルを推進し、焼却処理の際には熱エネルギーを活用するものへの転換を推進した。
リサイクル関連施設については、PETボトルの再資源化、廃プラスチックの油化、焼却灰の溶融固化、余熱利用、廃棄物発電、ごみ固形燃料化等の普及・技術開発等を推進するとともに、平成7年11月に「民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法」の対象施設にリサイクル関連施設を追加することにより、施設の整備促進を支援した。
また、ごみゼロ社会を目指し、平成6年度から「単に燃やして埋める処理」から廃棄物についてその排出抑制に努め、リサイクル可能なものは極力リサイクルを行い、その後になお排出される可燃性のものは焼却処理等を行うとともに積極的な余熱利用を行う「廃棄物循環型処理」を推進するための施設整備を推進した。
(5) リサイクルにおける環境配慮
廃棄物の減量化及び環境への負荷の低減を図るため、廃棄物のリサイクルについては、現在環境保全面からの適切な基準が設定されていないことから、廃棄物のリサイクルに係る環境保全上のガイドラインを策定するための調査を行った。