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第8節 

2 光害(ひかりがい)

 光害とは、ネオンや街灯等の人工光によって夜空の明るさが増し、星がよく見えなくなる等の影響が出ることをいう。夜空の明るさが増すと、太古の昔より人々の精神生活にかかわってきた星空の喪失や、天文観測の困難化による天文学の発展の阻害をもたらす。また、夜間の過剰な屋外照明は植物等の生態系に影響を及ぼすことがある。さらに、夜間の屋外照明は安全確保や都市機能維持に不可欠であるが、必要以上の照明はエネルギーの浪費にもつながりかねない。
 環境庁が昭和63年度から実施している全国星空継続観測(スターウォッチング・ネットワーク)の結果から、都市部を中心として夜空の明るさが増していることが確認されているほか、平成6年度の光害に関する環境モニター・アンケート調査からも、都市の規模が大きくなるにつれ、星空が見えにくくなっていること等が明らかになっている。(第4-8-2図)、(第4-8-3図)


 このような光害に対して、国内では岡山県小田郡美星町が、全国に先駆けて光害防止条例を制定し、屋外照明に様々な基準を設けているほか、海外では、アメリカのアリゾナ州ツーソン市をはじめ、欧米の各地で光害防止条例が制定されている。

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