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第4章 環境の現状

 今日の環境問題は、特定の社会経済活動に起因する激甚な公害や自然破壊が中心ではなく、限りある環境の中で巨大化し続ける通常の社会経済活動が環境への負荷を増大させており、ひいては地球環境や将来の世代にまで影響を及ぼすような状況となってきている。工場での燃料消費による二酸化硫黄の排出量及び大気中濃度は、昭和40年代前半をピークにその後著しく低下したが、他方、自動車交通等に起因する窒素酸化物や浮遊粒子状物質による都市の大気汚染、化石燃料消費増大に伴う二酸化炭素の排出量の増大及びそれに起因する地球温暖化、生活排水等に起因する閉鎖性水域等の水質汚濁、生活の多様化による廃棄物の増大などは、こうした状況を示している。また、従来改善の傾向にあった地域レベルの環境汚染がここ2、3年悪化したり、これまで状況が十分解明されていなかった問題が次第に明らかにされてきている。(例 硝酸性窒素、酸性雨、化学物質等)
 本章においては、環境基本計画に定められた「循環」、「共生」の長期的目標を達成していく施策の対象とされた分野ごとに具体的に見ていくこととする。その際、環境の現状に加え、環境への負荷の状況、さらに対策の概要についても説明する。
 また、「循環」と「共生」を実現するための「参加」の状況についても本章第9節において述べる。なお、「国際的取組」については各論第5章を参照願いたい。

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