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第3章 パートナーシップがつくる持続可能な未来

 第1章では、一人ひとりが生活の中から環境について考え、理解することにつながるよう、日々の食生活や遊び、芸術を題材に考察した。また、第2章では、生物多様性と環境効率性という視点に立って、限りある環境の中での持続可能な未来に向けての経済社会の在り方について考察を加えた。
 持続可能な社会に向けて、これまで取り上げてきたような取組を進めていくためには、今日の環境問題の多くが、都市・生活型公害や地球温暖化問題等に見られるように通常の事業活動や日常生活による環境への負荷の増大に起因しており、生産・消費のあり方を変革していくような構造的な解決が求められていることを踏まえ、経済社会を構成する各主体がそれぞれの立場に応じた公平な役割分担の下で相互に協力・連携していくことが求められる。
 そこで、本章では、公平な役割分担の下での協力・連携、すなわちパートナーシップをいくつかの角度から論じてみたい。
 まず、地方公共団体、住民、民間団体、事業者等のパートナーシップによる地域の環境保全への取組が始まり、一地域を越えた活動に広がり、さらに国境を越えて展開する中から持続可能な社会の実現につながる動きを見て、その中から共有すべき役割を探る。
 次に、このように各主体が連携して、幅広い取組を進めるための基盤として、人間活動と環境との関係についての共通の理解と長期的な目標の実現に向けた総合的な取組を支え、より効果あるものとしていくための政策手法である環境指標、環境リスクの意義について考える。また、公平な役割分担の下に広範な社会経済活動に環境保全を織り込む政策手法として環境基本計画に定められた経済的手法、環境影響評価制度、容器包装のリサイクル制度について概観する。
 最後に、持続可能な未来に向けて人間と環境との関係を解き明かし、長期的なビジョンをつくり、具体の取組を進めていくための人類の英知の結集についても考えてみたい。

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