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第2章 生物多様性と環境効率性の視点から考える環境保全

 我々の生活が地球の環境から様々な恵みを受けて成り立っていることを第1章で見た。こうした地球環境の営みを維持し、人間を含む地球上のすべての生命の生存基盤にあるのは生物の多様性である。普段の生活の中では、こうした構造はなかなか理解されにくい。しかし、経済社会が巨大化するにつれて、この生物の多様性が人間活動の影響を受け、地球の歴史上かつてない速さで減少を続けている。
 本章では、生物の歴史を振り返り、生物多様性の価値を明らかにし、この恵みを享受し続けられる人間社会のあり方、地域地域の多様な環境に適応した人間と自然との持続可能なかかわりの必要性について考えてみたい。
 また、今日、持続可能な未来に向けて、限りある地球環境の制約の中での経済社会の新しい発展のあり方、社会経済活動による環境への負荷を最小に抑えながら人間社会にとって必要な財・サービスを生み出すという、環境面での効率を追求することにより経済活動の質を高めていく必要性が指摘されている。
 そこで、環境配慮を経済活動に内部化し、環境効率を高めていこうとする動きをとりあげて考えてみたい。
 こうした考察を通じて、生物がはるかに長い時間をかけて形成してきた地球の環境、それに支えられて生き、活動している人間社会の構造、その長期的に目指す方向が理解されよう。

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