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第7節 

1 河川の環境整備

(1) 河川の環境整備
 河川の環境に関する基礎情報の収集整備のため、河川ならびにダム湖及びその周辺における生物の生息状況の調査、河川空間の利用実態の調査等を行う「河川水辺の国勢調査」を実施した。また、河川環境に関する専門的知識を有する地域の方々の参加を得て、きめ細かく河川環境の管理を行う「河川環境モニター制度」を実施した。
 河川の治水及び利水の機能を確保しつつ、河川環境の管理に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な事項を定める河川環境管理基本計画の策定を推進した(平成6年度迄策定428水系)。また、事業費59億8,490万円で、203河川について環境に配慮した河川の整備を行い、良好な水辺空間の形成を図る河川環境整備事業(河道整備事業)を、事業費20億4,600万円で15河川について、水門、船溜り等の整備を行いレクリエーション空間としての河川利用推進を図る河川環境整備事業(河川利用推進事業)を実施した。さらに、周辺の景観や地域整備と一体となった河川改修等を行い、良好な水辺空間の形成を図る「ふるさとの川整備事業」及び河川改修と市街地整備を併せて行う「マイタウン・マイリバー整備事業」、堤防の強化と併せ、側帯上に植樹を行う「桜づつみモデル事業」、生物の良好な生育環境に配慮し、あわせて美しい自然景観を保全あるいは創出する「多自然型川づくり」、河川横断施設とその周辺の改良、魚道の設置などにより魚類の遡上環境の改善を行う「魚がのぼりやすい川づくり推進モデル事業」、世代、障害の有無を越えてすべての人にやさしい河川整備を行う「まほろばの川づくりモデル事業」を実施した。
 なお、環境保全等の観点から一部に反対運動のおこっている長良川河口堰建設事業について、平成3年度に建設省及び水資源開発公団は、学識経験者の指導の下に環境庁とも調整を図りつつ環境に関する追加調査を実施した。この追加調査の結果は、平成4年4月に公表され、その中で水質や回遊性魚類等について大きな影響はないものと判断している。なお、同省及び同公団では、学識経験者の指導を得ながら平成6年度に1年間かけて、環境等の調査を実施してきたところであり、今後とも環境保全等に万全を期すこととしている。
(2) ダム周辺の環境整備
 水源地としてふさわしい周辺の自然環境を保全するとともに、ダム貯水池周辺部の適地の整備を行い、自然とのふれ合いの場やレクリエーション空間を創出するため、「ダム湖活性用環境整備事業」(従来のダム周辺環境整備事業とダム湖活用促進事業を統合)を新たに漆沢ダム等3ダムを加えた38ダム事業費32億5,085万円で実施した。
 生態系の保全・創出の観点からは、魚道の設置及びダム直下の無水区間の解消等のダム貯水池及びダム下流の水環境改善を目的として「ダム水環境改善事業」を新たに荒瀬・瀬戸石ダムを加えた5ダム事業費9億4,150万円で実施した。
 さらに、堆砂及び水質改善対策と併せて、常時一定水位で利用可能な湖面を創出し、ダム湖の親水性を向上させるレクリエーション湖面整備ダムを1ダム事業費9億6,800万円において実施した。また、地方公共団体等が事業主体となるレクリエーション多目的ダム事業を3ダム事業費29億4,346万円において実施した。
(3) 砂防設備周辺の環境整備
 都市周辺の渓流において、自然環境との調和を図り、緑と水辺の空間を確保し、生活環境の整備を行うため、平成6年度は事業費15億3,300万円で長野県夜間瀬川等23渓流において高水敷の整備、緑化等を実施した。この中で、歴史に残る砂防設備を積極的に保存する「砂防学習ゾーン・モデル事業」を推進した。
 さらに、土砂災害の防止を図りつつ渓流における景観・生態系等の自然環境を保全する砂防事業を推進するため、溪流環境整備計画の策定を試行的に実施した。また、これらの事業を実施するための基礎情報の収集整備のため、自然環境調査及び溪流空間利用実態調査からなる「水と緑の溪流づくり調査」を実施した。

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