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第5節 

2 地下水汚染の対策

 地下水は一度汚染されるとその回復が容易ではないので、汚染が進行しないうちに予防策を講じていかなければならない。このため、環境庁ではトリクロロエチレン等3物質について、昭和59年8月以降、これらの物質を取り扱う工場・事業場からの排出抑制に関し暫定指導指針を設定して指導を行ってきた。また、厚生省及び通商産業省においては関係業界に対する指導を、さらに、建設省においても指導及び地下水の調査を行ってきている。
 しかしながら、その後の調査結果をみても、トリクロロエチレン等による地下水汚染が依然として各地でみられること等から、平成元年、有害物質による地下水汚染の未然防止を図ること等を目的として「水質汚濁防止法」の一部が改正され、この改正法により同年10月から、トリクロロエチレン等11の有害物質を含む水の地下への浸透の禁止、都道府県知事の地下水の水質の常時監視等の措置がとられた(第3-5-1図)。また、平成5年12月には、1,1,1-トリクロロエタン等13物質を有害物質に追加し、規制の強化を図っている。
 環境庁では、都道府県知事が作成する地下水の水質測定計画に基づく水質調査に要する経費について、平成元年度から助成を行っている。
 地下水汚染問題については、水質汚濁防止法の着実な施行を図り、汚染の未然防止に努めることはもとより、汚染された地下水の汚染機構の把握や浄化対策等の検討が必要である。環境庁では平成6年11月に「有機塩素系化合物等に係る土壤・地下水汚染調査・対策暫定指針」を策定して、地下水汚染が判明した場合における調査・対策の一般的な手法を示すとともに、より一層の技術的な確立を図るため汚染回復対策手法等の現地実証調査を実施するなどの調査研究を進めている。

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