1 地下水汚染の現況
昭和50年代後半からトリクロロエチレン等による地下水汚染が各地域に広がっていることが明らかとなってきたことから、平成元年度より、「水質汚濁防止法」に基づき地下水質の汚濁状況を常時監視することとなり、都道府県ごとの地下水質測定計画に従って国及び地方公共団体による地下水質の測定が行われることになった。
平成5年度の地下水質測定結果によると、概況調査(地域の全体的な地下水質の状況を把握するために実施する調査)は、1,520市区町村で実施され、評価基準を超過した井戸の割合(超過率)は、鉛0.21%(6本/2,627本)、ヒ素1.4%(37本/2,561本)、総水銀0.1%(3本/2,626本)、四塩化炭素0.04%(1本/2,383本)、1,1-ジクロロエチレン0.1%(1本/1,010本)、シス-1,2-ジクロロエチレン0.9%(9本/1,010本)、トリクロロエチレン0.3%(15本/4,480本)、テトラクロロエチレン0.5%(24本/4,480本)、ベンゼン0.1%(1本/909本)であった(第3-5-1表)。
また、汚染井戸周辺地区調査(概況調査等により新たに発見された汚染について、その汚染範囲の確認を目的とした調査)では、鉛3.3%(4本/121本)、ヒ素25.7%(83本/323本)、総水銀7.8%(10本/129本)、四塩化炭素3.3%(12本/360本)、シス-1,2-ジクロロエチレン1.0%(1本/103本)、1,1,1-トリクロロエタン0.2%(2本/1,292本)、トリクロロエチレン3.4%(44本/1,286本)、テトラクロロエチレン8.3%(108本/1,303本)、ベンゼン2.8%(1本/36本)の超過率であった。定期モニタリング調査(汚染井戸周辺地区調査により確認された汚染の継続的な監視等を目的とした調査)では、全シアン0.2%(1本/609本)、鉛0.4%(3本/667本)、六価クロム0.7%(5本/683本)、ヒ素12.6%(100本/794本)、総水銀2.3%(15本/657本)、四塩化炭素1.3%(17本/1,270本)、1,1-ジクロロエチレン1.0%(6本/583本)、シス-1,2-ジクロロエチレン3.8%(22本/582本)、1,1,1-トリクロロエタン0.1%(5本/3,383本)、トリクロロエチレン8.4%(309本/3,658本)、テトラクロロエチレン18.2%(670本/3,678本)の超過率であった。
なお、いずれの調査においても、他の物質については、評価基準を超過した井戸はなかった。