1 現況
平成5年度全国公共用水域水質測定結果によると、カドミウム等の人の健康に係る環境基準については、平成5年3月に環境基準が改正されたため、平成5年度から新たな環境基準に基づく評価を行ったところ、環境基準を超える測定地点は、全国5,708測定地点のうち33地点あり、非達成率は、0.58%であった(第3-1-1表参照)。
なお、健康項目の環境基準適合状況については、環境基準が改正されたため、経年的な評価を行うことは困難であるが、従来の不適合率(環境基準を超える検体数の総検体数に対する割合)の考え方により、旧環境基準に対する不適合率を算定すると0.01%となり、昭和46年度以降着実に改善されている。
一方、BOD、COD等の生活環境の保全に関する項目に関しては、平成4年度までに環境基準類型のあてはめられた3,147水域(河川2,433、湖沼128、海域586)について、有機汚濁の代表的な水質指標であるBOD(又はCOD)の環境基準の達成水域は全体の76.5%(4年度75.2%)であり、依然として全体の23.5%の水域においては、環境基準が達成されていない。また、これを水域別にみると、河川77.3%(4年度75.4%)、湖沼46.1%(同44.6%)、海域79.5%(同80.9%)であり、特に、湖沼、内湾、内海等の閉鎖性水域や都市内の中小河川で依然として達成率が低い(第3-1-2表、第3-1-1図、第3-1-2図)。
なお、その他の水質汚濁の態様としては、トリクロロエチレン等による地下水の汚染、有機スズ化合物による河口、内湾域を中心とした広範な汚染、事故による有害物質の流出による公共用水域の汚濁、一部の水域についてではあるが、ダムの築造に伴う長期濁水、火山地帯における河川又は湖沼の自然的要因による酸性化、大規模発電所の温排水による環境への影響等がある。