2 悪臭防止対策
(1) 悪臭防止法の施行
「悪臭防止法」では、工場その他の事業場における事業活動に伴って発生する悪臭物質の排出を規制している。同法3669では、都道府県知事(政令市においてはその長)が規制地域の指定及び規制基準の設定を行うこととしており、平成5年度末現在で47都道府県において、602市、893町、122村、23特別区の計1,640市区町村で地域指定が行われている(全市区町村数の約50%)。都道府県知事(市町村長に委任。)は、規制地域内の事業場の事業活動に伴って発生する悪臭物質の排出が規制基準に適合しないことにより、住民の生活環境がそこなわれていると認めるときは、事業場を設置している者に対して悪臭防止の措置を講ずるよう改善勧告、さらには改善命令を発することができることとされている。平成5年度中は改善勧告が2件で、改善命令に至ったものはなかった。また、以上の法律に基づく措置のほか、規制地域内の悪臭発生事業場に対して行政指導が4,384件行われた。
(2) 悪臭防止対策の充実
現行の悪臭防止法による個別の悪臭物質ごとの濃度規制では、複数の悪臭物質が相加・相乗されるなどして人の嗅覚に強く感じられる複合臭に係る悪臭苦情には的確に対処できない。また、近年、国民の日常生活に伴う悪臭による苦情の割合が増加する傾向にある。
このため、環境庁では、平成7年3月2日に出された中央環境審議会の答申(「悪臭防止対策の今後のあり方について」)を踏まえ、?複合臭が問題となり現行の悪臭物質ごとの濃度規制基準によっては対応が困難な区域については、これに代えて、人間の嗅覚を活用し悪臭の程度を測定する「臭気指数」を用いた規制基準をできることや、?国民の日常生活に起因する悪臭の防止に関し、国民、地方公共団体及び国が果たすべき役割の規定を設けることを内容とする「悪臭防止法の一部を改正する法律案」を第132回国会に提出した。
(3) 悪臭防止技術の改善等
各地方公共団体の担当者が悪臭発生源事業場に対し、発生源の種類、周辺状況に応じた、より適切な指導を行うことができるようにするため、環境庁では、有効な悪臭防止技術に関する知見を収集し、その全国的な普及を図る事業を行っている。
また、規制基準に適合しているか否かを簡易に判断でき、事業場に対する指導に活用可能な臭気センサーの開発に関する基礎調査を行っている。
(4) におい環境指針の検討
一般環境大気における臭気に関する環境保全目標を設定するための調査検討を実施している。