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第2節 

2 浮遊粒子状物質等対策

 大気中の粒子状物質は「降下ばいじん」と「浮遊粉じん」に大別され、さらに浮遊粉じんは、環境基準の設定されている粒径10μm以下の浮遊粒子状物質とそれ以外に区別される。これらの粒子状物質の発生源は、工場、事業場等産業活動に係るものだけでなく、自動車の運行に伴い発生するもの、風による土壤粒子の舞い上がり等の自然環境によるものもある。これらの各種発生源のうち、工場又は事業場における事業活動に伴って発生するものについては、「大気汚染防止法」に基づき?燃料その他の物の燃焼又は熱源としての電気の使用に伴い発生する物質を「ばいじん」として、?物の破砕、選別その他の機械的処理又は堆積に伴い発生し、又は飛散する物質を「粉じん」として規制している。また、自動車の運行に伴い発生するものについては、同法等に基づき「粒子状物質」として規制している。
(1) 浮遊粒子状物質対策
 浮遊粒子状物質については、昭和47年1月に環境基準が設定され、その達成率は、平成5年度においては一般環境大気測定局で58.3%、自動車排出ガス測定局で40.5%と依然として低い状況にあるが、浮遊粒子状物質については、工場・事業場、自動車等人為的な発生源の他、土壤等自然界に起源をもつものや、大気中での二次粒子(大気中で硫黄酸化物等のガス状物質が物理的、化学的変化を受けて成長する粒子)の生成がある等発生機構が複雑であるため、決め手となる有効な対策の策定が難しい状況にある。
 このため、浮遊粒子状物質に係る各種発生源調査及びフィールド調査等を実施し、汚染機構の解明、汚染予測手法の開発、効果的な削減手法等の調査研究を推進しているところであり、それらの結果を踏まえて、総合的な対策の検討を進めている。
 また、自動車の排出ガスに含まれる粒子状物質については、平成元年12月の中央公害対策審議会答申に示された短期目標に沿って、従来から規制対象となっていたディーゼル黒煙の規制強化及び粒子状物質全体に対する新たな規制が5年及び6年から実施された。また、長期目標についても、大型のディーゼルトラック・バスを除き、9年及び10年頃に達成できる見通しが得られ、残った車種についても早期達成を目指して技術評価等を推進している(第2-2-1表)。


(2) ばいじん及び一般粉じん対策
 ばいじんについては、施設の種類及び規模ごとに排出基準が定められており、さらに、施設が密集し、汚染の著しい地域においては、新・増設の施設に対して、より厳しい特別排出基準が定められている。
 ばいじんの発生源対策としては、適切な燃焼管理等のほか、集じん装置の設置がある(第2-2-2図)。
 一般粉じん(「粉じん」のうち「特定粉じん」(現在、政令で石綿を指定)以外のもの。「特定粉じん」については(「6(1)石綿対策」の項参照。)については、堆積場、コンベア等の一般粉じん発生施設の構造、使用及び管理に関する基準が定められている。

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