3 指定化学物質等検討調査の概要
PCBによる環境汚染問題を契機として、PCB類似の性状(難分解性、高蓄積性及び慢性毒性)を有する化学物質の規制を目的として、「化学物質審査規制法」が、昭和48年に制定された。その後トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンによる地下水汚染問題等を契機に、61年に改正され、新たに「第二種特定化学物質」及び「指定化学物質」の規定が設けられ、製造・輸入予定数量や実績の届出など事前・事後管理制度が設けられた。
このうち、指定化学物質については、当該物質による環境の汚染により人の健康に係る被害が生じるおそれがあると見込まれる場合には有害性の調査の指示がなされ、その結果により、有害性が認められれば、第二種特定化学物質に指定される。また、第二種特定化学物質は製造・輸入予定数量の事前届出のほか、必要に応じ製造・輸入量の制限等が行われることになっている。
このため、指定化学物質及び第二種特定化学物質についての一般環境中の残留状況を把握することを目的として、環境庁においては、昭和63年度から「指定化学物質等環境残留性検討調査」を開始した。その後、調査地域の拡大や測定精度の向上等を図った。さらに、平成2年度より、新たに暴露経路調査(日常生活において、人がさらされている媒体別の化学物質量に関する調査)を開始した。また、測定値についても統一検出限界処理等を行うとともに、調査名を「指定化学物質等検討調査」と改めた。
平成5年度は、水質・底質について、1,4−ジオキサン等4物質を34地区で、大気について、トリクロロエチレン等6物質を28地区で、また、暴露経路調査については、トリクロロエチレン等6物質を9地区でそれぞれ調査を実施した。