2 人工光害
人工光害は、ネオンや街灯の光によって夜間星がよく見えなくなるなどの影響が出ることであり、大気汚染や水質汚濁といった典型7公害とは異なり、光の環境中の浮遊や蓄積によって人の健康に影響を及ぼすようなことはなく、また必ずしも不快感をもたらすものでもない。環境庁で昭和63年から実施している全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)の平成6年度夏季の観察結果によると巨大・大都市に比べ中・小都市の方が星がよく見えるという結果が出ている。夜間の人工光は道路・航路などの安全確保は言うまでもなく、都市機能を維持する上でも不可欠であるが、必要以上の照明はエネルギーを浪費するだけでなく、太古の昔より人々の精神生活に関わってきた星空の喪失、ひいては快適環境の消失につながりかねない。そのほか、天体観測が困難になることによる天文学の発展の阻害や、夜間の過剰な照明による動植物の生態系の変化などの影響が懸念される。
このような人工光害に対して、国内では岡山県小田郡美星町が、全国に先駆けて光害防止条例を制定し、屋外照明に様々な基準を設けているほか、海外では、アメリカのアリゾナ州ツーソン市をはじめ、欧米の各地で光害防止条例が制定されている。