1 持続可能な未来の構築と環境基本計画の意義
これまでの各章で見てきたように、各地域を越えて環境容量や資源量の制約といったいわば地球的規模の限界が見えつつある今日の環境問題は、文明の問題にまで遡って考える必要のある問題であり、人類の生存の基盤である環境を守り続けていくためには、人類として環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築することが必要である(第1章207/sb1.1>)。また、問題が地球規模であることや我が国が世界で果たすべき役割の大きさを踏まえて国際的視点から我が国のとるべき道を考える必要がある(第2章207/sb1.2>)。さらに、我が国の環境に係る現状を踏まえて、現在の我が国の環境を後の世代に適切に引き継いでいく必要がある(第3章207/sb1.3>)。
このように、国際的視点を踏まえつつ、人類の生存基盤である環境を後の世代に適切に引き継ぎ、持続的発展が可能な社会を構築していくためには、あらゆる対策を強力に推進していく必要がある。しかし、それらの対策は広範囲にわたる膨大なものであり、しかも問題は着々と進行しており、他方、時間的にも資金的にも投入できる資源は限られている。このような状況の中では、本章でこれまで述べた対策を含めてあらゆる関連の対策を計画的、総合的に推進していくことにより、効果の高い対策の推進が必要である。
環境基本計画は、このような観点から見て極めて重要な意義を有するものである。