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第5節 

4 環境保全のための各主体間の協力・連携

 これまでに見てきたように、我が国では、地方公共団体、消費者及び民間団体、産業界において自主的積極的かつ多種多様な取組がそれぞれ進みつつある。これらの取組は、環境保全に関する役割分担に沿って、社会全体として十分に、また公平かつ整合的に進められることが必要であるが、さらに各主体の行動が促進されるためには、国、地方公共団体、国民及び民間団体、事業者が相互に協力・連携しつつ、総合的に環境保全対策が実施されることが必要とされる。以下では、地方公共団体、消費者及び民間団体、産業界が相互に協力・連携して行われつつある取組を挙げてみることとする。
(1) 地方公共団体の事業者登録・認定制度
 地方公共団体では、地域の事業者のリサイクルやごみの減量化への取組を促進するため、それらの取組を進めている店舗、オフィス、事業者等を登録・認定する制度が、名古屋市、横浜市、豊島区等で始められている。例えば、高松市では、ごみの減量・資源化に取り組む市内のオフィスが「地球にやさしいオフィス」宣言をして登録し、年1回減量・資源化計画書兼報告書を提出する制度が行われており、登録事業所数は平成6年3月末で591事業所となっている。
(2) グラウンドワーク活動
 1980年代初めに始まった英国グラウンドワークは、地域にトラストを設立し、住民・企業・行政の協力により、英国環境省からの支援を受けて地域環境の保全・創造を行っている活動であり、現在までに実施された企業のキャンペーンでは、中小企業への敷地内環境改善のアドバイス、環境保全活動への青少年や身体障害者の参加支援、市民参加による学校等での環境保全活動、環境教育面での青少年リーダーの育成、歴史的建物や景観等の保全など、幅広いテーマが選ばれている。我が国でも、平成6年11月、日本グラウンドワーク協会が発足し、パートナーシップによる環境保全活動への取組が始まりつつある。
(3) 包装廃棄物のリサイクル
 環境への負荷を低減するための廃棄物・リサイクル対策を進めるに当たっては、対策に関する責任やコストのうち、必要なものについて、事業者、消費者、地方公共団体及び国の間で適切に分かち合うとともに、製品の開発、製造、輸入、流通、消費、排出、回収、再生利用の各段階において、廃棄物の発生を抑制し、リサイクルを推進する誘因が得られるような経済社会システムの構築を進めていく必要がある。
 包装廃棄物のリサイクル対策については、平成6年10月厚生省生活環境審議会廃棄物減量化・再利用専門委員会報告書「廃棄物の減量化・再生利用の推進等について」において、また、平成6年7月通商産業省産業構造審議会廃棄物処理・再資源化部会意見具申「今後の我が国の廃棄物処理・リサイクルシステムのあり方」において、その必要性を指摘している。環境基本計画においては、包装材について、廃棄物の減量化を図り環境への負荷を低減するため、市町村が包装廃棄物を分別収集し、事業者が引き取り・再生利用を行う新しいシステムの導入を検討し、必要な措置を講ずることとしたところであり、適切なリサイクルのための仕組みづくりに向けて積極的な取組が進められている。

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