1 化学物質の環境安全性に関する調査の実施
(1) 環境庁においては、平成元年度に開始した第2次化学物質環境安全性総点検調査を引き続き実施する。具体的には次のような調査・研究を行う。
? 優先的に調査する物質(約1,100物質)について、内外の関連情報、スクリーニング試験結果及び環境中の化学物質の挙動等を把握するため開発された化学物質環境運命予測手法による予測結果等に基づき、環境中に残留している可能性が高いと予想される物質及びこれらの物質の残留可能性が高いと予想される環境媒体を抽出・選定し、これらを対象として環境調査を行う。
? これまでの環境調査等で確認された残留性化学物質については、生態系にどのような影響を与えるかの試験を行う。
? 環境汚染の長期的な推移を観察する必要が認められる化学物質について、水質・底質モニタリング及び生物モニタリングの一層の充実を図る。
? 化学物質に関し、物理化学的性状、毒性その他各種情報を収集・整備する。
また、指定化学物質及び第2種特定化学物質について環境残留状況及び暴露経路を把握するため、指定化学物質等検討調査を行うとともに、ダイオキシン類等非意図的に生成される有害化学物質について、環境中における存在を調査し、その危険性を評価することにより、これらの有害化学物質による環境汚染を未然に防止するための有害化学物質汚染実態追跡調査を引き続き実施する。
この他、環境化学物質発生源情報の管理及びOECDにおいて検討が進められている化学物質安全対策に対応する安全性試験手法等について検討を行う。
また、化学物質環境調査結果等を系統的に管理・分析する環境汚染状況解析推進調査及び試料の一部を変質することなく保存するシステムを検討、実施するとともに、ガスクロマトグラフ/質量分析計を用いて環境中の化学物質を検索するシステムの開発を行う。
(2) 環境庁では、総合的・予見的な政策を展開していくとともに化学物質の利用拡大に伴う環境問題に的確かつ迅速に対応し、化学物質による環境汚染の未然防止を図るため、製造・使用の各段階から複数環境媒体に放出される多種類の化学物質について環境へのリスク評価の手法、環境保全のための制度的あり方等を検討する。
また、化学物質に対する総合的な対策に資するため、引き続き化学物質を総合的に管理する手法の開発、環境化学物質の情報整備等に関する調査検討を実施するほか、化学物質に関する国際協力を実施する。