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第6節 

2 文化財の保護及び歴史的環境の保全

(1) 史跡、名勝、天然記念物の保護
 古墳、貝塚、城跡等の遺跡で歴史上又は学術上の価値の高いものを史跡に、庭園等の名勝地で芸術上または観賞上価値の高いものを名勝に、動植物、地質鉱物等で学術上価値の高いものを天然記念物にそれぞれ指定し、現状変更等を制限している。平成4年度末現在の指定件数は、史跡1,309件(うち特別史跡57件)、名勝257件(うち特別名勝28件)、天然記念物913件(うち特別天然記念物721件)である。また、史跡等の保存上、特に必要がある場合は公有化を図るとともに、当該史跡等の活用を図るため、整備等の保護事業(補助事業)を行っている。
 なお、平城宮跡及び飛鳥・藤原宮跡については、土地の国有化を進めるとともに、奈良国立文化財研究所において発掘調査・整備を行っている。
 さらに、近年の国土開発の進展による天然記念物である動植物の減少に対処するため、天然記念物の保護増殖事業等(補助事業)を実施している。
(2) 伝統的建造物群保存地区の保護
 宿場町、城下町などの伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するため市町村が定める区域のうち、我が国にとってその価値が特に高いものを重要伝統的建造物群保存地区として選定し、建造物保存修理、防災施設等の設置、建物や土地の公有化などの事業に対し補助を行っている。平成5年度末現在、全国で37地区(32市町村)が選定されている。
(3) 古都における歴史的風土の保存
 古都において歴史的意義を有する建築物、遺跡等が周囲の自然的環境と一体をなして伝統と文化を具現、形成している地域を保存するため、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」に基づき、京都市等6市1町1村を「古都」とし、これら「古都」(明日香村を除く。)において約1万3,000haの歴史的風土保存区域を指定し、さらにこのうち、特に枢要な部分を構成している地域約4,532ha(39地区)を都市計画に歴史的風土特別保存地区として指定している。
 奈良県高市郡明日香村においては、「明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法」に基づき、村全域について、都市計画に125.6haの第1種歴史的風土保存地区及び2,278.4haの第2種歴史的風土保存地区を指定している。また、同法の改正に伴い、平成2年度に策定された「明日香村における生活環境及び産業基盤の整備等に関する計画」に基づき、明日香村の行う特定の事業に特別の助成を行う等歴史的風土の保存と調和した各種事業を推進している。さらに、明日香村整備基金により、歴史的風土の保存事業等を行っている。
 歴史的風土特別保存地区においては、建築物その他の工作物の新築等歴史的風土の保存に影響を及ぼすおそれがある行為を、府県知事の許可に係らしめるとともに、土地の買入れを実施している。平成4年度までに約322ha、5年度は約11haを買い入れた。また、買い入れた土地の歴史的風土の適切な保存を図るため、歴史的風土保存計画に基づいて行う施設整備に補助を行っており、5年度は事業費9,200万円で景観保全のための植栽等を整備した。歴史的風土特別保存地区以外の歴史的風土保存区域においても、工作物の新築等の行為を府県知事への届出に係らしめる等の規制を行っている。

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