3 富栄養化対策
富栄養化は、元来、流域からの窒素、燐等の栄養塩類の供給により湖沼が徐々に肥沃化される現象を指すものであったが、近年、人口、産業の集中等により、湖沼に加えて内湾等の海域においても窒素、燐等の栄養塩類の流入が増大し、藻類等が増殖繁茂することに伴い、その水質が累進的に悪化する現象がみられるところがあり、水質保全上問題となっている。
このため、湖沼においては透明度の低下や水色の変化による美観の劣化のほか、水道におけるろ過障害や異臭味問題等種々の障害が生じている。また、海域においては赤潮や青潮による漁業被害等が問題となっている。
このような富栄養化に伴う障害の発生にかんがみ、その原因物質である窒素及び燐について、次のような施策が講じられている。
湖沼については、昭和57年に窒素及び燐に係る環境基準を設定し、平成4年度までに、琵琶湖(2水域)等合計48水域(44湖沼)について類型指定が行われている。また、窒素及び燐に係る排水基準は、60年に設定され、現在、燐については1,066湖沼、窒素についても、そのうち78湖沼で排水規制が行われている。この他、琵琶湖等7指定湖沼については、湖沼水質保全特別措置法に基づき窒素・燐に係る汚濁負荷量規制が実施されている。(釜房ダム貯水池については燐のみ)。
海域については、昭和55年から、瀬戸内海において関係府県が「瀬戸内海環境保全特別措置法」に基づき燐及びその化合物に係る削減指導を行っている。東京湾、伊勢湾においても、57年から関係都府県等による富栄養化防止対策が始められ、第三次の栄養塩削減指導が平成3年度から行われてきた。さらに、平成5年8月に新たに海域の窒素及び燐に係る環境基準及び排水基準を設定し、同年10月より閉鎖性が高く富栄養化のおそれのある88海域とこれに流入する公共用水域について排水規制を実施している。なお、海域の窒素及び燐に係る環境基準の類型指定については、現在、国及び道府県において検討を進めている。