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第2節 

1 環境基本計画

 環境基本法は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進すべきことを規定するとともに、そのための中心的な仕組みとして環境基本計画を策定すべきことを規定している。環境基本計画は、環境基本法に定められた広範多岐にわたる環境保全施策を有機的連携を保ちつつ、全ての主体の公平な役割分担のもと、長期的な観点から総合的計画的に推進するため、政府全体としての環境保全施策の基本的な方向を示すとともに、地方公共団体、事業者及び国民に期待される取組を記述するものである。
 平成6年1月14日には内閣総理大臣より、中央環境審議会に対し、「環境基本計画はいかにあるべきか」について諮問が行われた。中央環境審議会では、本年半ばに中間報告を、そして本年中に最終答申を行うことを目指している。
 環境に関する総合計画を策定する動きは、我が国以外にも、1992年の国連環境開発会議の前後を中心に主要な先進国の間にも見られる。主なものとしているものでは、イギリス、オーストラリア、オランダ、カナダ、フランスそれにヨーロッパ共同体(EC)の計画が挙げられる。それらの計画の概要についてまとめたものが、第3-2-1表である。このように各国(及び地域共同体)が環境政策についての総合的な計画を策定するようになった動きの背景には、ブルントラント・レポート「我ら共通の未来」を契機に「持続可能な開発」が大きなテーマとなり、環境を保全していくためには従来よりはるかに広い範囲で社会経済活動そのものを環境に負荷の少ないものに変えていかなけらばならないという認識の広がりがあるものと考えられる。そのための具体的な方策の一つとして、ほとんどの計画が各社会経済活動の分野別にそれぞれ取り組むべき事項を挙げていることが注目される。
 平成5年11月に公表されたOECDによる日本の環境保全成果審査報告書の結論においても、環境政策と経済政策の統合のための対策の第一に「総合的な国の環境計画」の策定があげられているように、環境基本計画は、全ての主体の公平な役割分担の下に、経済を始めとする広範な分野で環境配慮を統合していくうえで中心的な手段である。

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