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第3章 持続可能な経済社会の構築に向けた日本の挑戦 

 第1章及び第2章を通して、我々一人一人のライフスタイルや企業行動と環境との関わりと課題を示し、課題の解決に向けた方向の指摘を試みたが、我が国の政府の果たすべき役割はどのようなものであろうか。本章では、持続可能な社会の構築に向けた我が国の挑戦について、主としてこれに関する政府の取組という観点から見てみたい。相互依存の度を深める現在の国際社会にあって、もはや持続可能な社会は、一国のみで成立させることは極めて困難である。このため、まず、我が国に対する国際社会からの期待と我が国の貢献について把握する必要があろう。国際社会における我が国の環境政策に対する評価を示す好例ともいえるOECD環境保全成果審査と持続可能な開発を通じた地球環境の保全の実現に向けた我が国の決意を国際社会に対して示す「『アジェンダ21』行動計画」の考察を通じてその把握を試みたい。
 現在の環境問題は、従来の規制的な手法のみでは対応が困難になってきており、各種の対策を総合的、計画的に講じる必要があるほか、国際的にも環境と経済の統合を求める動きがある。このため、環境と経済の統合に関する政策について考察しておく必要があろう。我が国では、21世紀に向け環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築するため、環境基本計画を策定し、各種の施策を総合的・計画的に推進することとしている。このため、まず、その概観を行いたい。次に、環境基本法においても環境の保全上の支障を防止するためにその有効性が期待されるとして位置づけられた経済的手法について、それらが活用されている国際的な動向なども踏まえ、若干の考察を行いたい。さらに、環境と経済との関わりを総合的に評価する手法は、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築するために具体的な尺度を提供することになるため極めて有効であろう。このため、環境資源勘定について、その基礎的な考え方、国際的な現状等の把握を試みた。
 本章では、また、地方公共団体の環境政策に着目し、環境政策への新たな取組を見てみたい。

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