国務大臣 環境庁長官 地球環境問題担当
浜四津 敏子
平成6年版の環境白書をここに公表いたします。
環境白書は、主に前年度の出来事を報告していますが、平成5年度は、我が国の環境行政にとって新たな時代の幕開けを意味する年でありました。「環境基本法」が、同年11月に成立、施行され、環境行政は、同法に基づき体系的かつ総合的に始動することとなったのです。
環境基本法では、環境政策の基本的な理念を概ね以下の三点規定しています。一点目は、環境の恵沢の享受と継承です。二点目は、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築です。そして三点目は、国際的協調による地球環境保全の積極的推進を掲げています。
本年の環境白書では、以上の3つの理念を踏まえ、特に環境への負荷の少ない持続的発展が可能な経済社会への変革の鍵となると考えられる私達の消費行動を中心とした生活文化とそれを支える産業界の動き、そして、これらを適切にかみ合わせることにより、より効果的なものとしていく役割を有する政府の取組について焦点をあてて記述しています。また、環境と経済との関係の長期的、短期的な分析や、両者を結ぶ新たな努力などについても取り扱っています。政府はもとより、地方公共団体、事業者、国民などの社会構成員の努力は、今後、ますます有機的な連携を求められるようになるものと思われます。現在策定が進められている環境基本計画には、そうした意味での大きな期待が寄せられており、政府としては、その期待に応え得る計画の策定を目指しているところです。
本白書が、健全で豊かな環境に恵まれた持続可能な経済社会の構築に向け、国民の皆様一人ひとりの具体的な取組に際しての参考となれば、これに過ぎる喜びはありません。
平成6年6月