3 政府開発接助等に際しての環境配慮
(1) 政府開発援助における環境配慮
政府開発援助(ODA)の実施に際し、現地の環境保全に配慮することは極めて重要であり、1985年(昭和60年)及び1986年(昭和61年)のOECD理事会において、開発援助プロジェクトに係る環境アセスメントに関する勧告が出されている。政府としては、平成元年の「地球環境保全に関する関係閣僚会議」における申合せにより、ODA実施に際しての環境配慮を強化することとしている。
これらを踏まえて、国際協力事業団においては、2年2月に「ダム建設計画に係る環境インパクト調査に関するガイドライン」、3年度から4年度にかけて「社会経済インフラ整備計画にかかる環境配慮ガイドライン」、「農業開発調査にかかる環境配慮ガイドライン」を各々策定した。また、円借款を担当する海外経済協力基金においては、元年10月の環境配慮のためのガイドラインに基づき、環境配慮の確保に努めている。さらに、環境担当組織の拡充、JICA開発調査団への環境専門家の参加等の措置が進展した。今後は、これらのガイドラインの内容を効果的に実施していくことが重要となっている。
(2) 企業の海外進出等における環境配慮
企業の海外進出等における環境配慮も極めて重要であり、政府としては、元年の「地球環境保全に関する関係閣僚会議」の申合せにより、適切な環境配慮が行われるよう努力している。
個々の企業においては3分の2が海外進出に際して環境保全を重視するとし、4割が環境影響評価を実施し、その半数が事後点検も行なっているとする(環境庁調査)など、環境配慮の努力が行われてきている。また、我が国の代表的な経済団体である(社)経済団体連合会が作成した、環境保全のための指針である「経団連地球環境憲章」(平成3年4月)の中でも、進出先国の環境基準の遵守と更なる環境保全努力等、10項目にわたる海外進出に際しての環境配慮事項が盛り込まれている。
今後ともこうした取組が一層進展することが重要であり、政府としても、引き続き企業の海外進出に際しての環境配慮に関する調査、検討等を行った。
(3) 開発援助等に関する多国間協議
OECD開発援助委員会は、1991年(平成3年)10月に採択した「国別環境調査及び戦略のための実施要領」、「開発プロジェクトの環境影響の評価のための実施要領」、「開発プロジェクトに伴う立ち退き及び再定住に関する、援助機関のためのガイドライン」及び「地球環境問題に関する、援助機関のためのガイドライン」に引き続き、自然災害、農薬等に関する援助と環境に関するガイドラインの検討を進めた。