5 海洋汚染対策
(1) 未然防止対策
「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」(以下「海防法」という。)に基づき、環境庁において、ばら積み輸送される未査定液体物質の査定等を行う。
「1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書」に定める規制物質のうち油、ばら積み有害液体物質及び廃物に関する規制について引き続き規制内容の周知徹底を図るなど、規制を円滑に実施するための諸施策を講じる。
また、同議定書に定める規制物質のうち未発効である容器入有害物質及び汚水に関する規制については、国際的動向に対応して海洋汚染防止のための施策を講じていくこととしており、特に、容器入り有害物質に関する規制については、平成4年7月の発効に向け、規則の改正等所要の施策を推進する。
(2) 海洋汚染監視測定等
環境庁においては、日本周辺を流れる海流を横断する日本沿岸からの測定線及び船舶主要航路に沿った測定線を設け、それら測定線上の測定点において一般の海洋観測項目のほか、海水中の重金属濃度等について、深層に及ぶ日本近海海洋汚染実態調査を行う。また、大規模油流出事故に伴う海洋環境被害対策に関する調査を実施する。
海上保安庁においては、巡視船艇・航空機を効率的に運用するとともに、分析資器材の整備等を行い、監視取締体制の充実を図る。また、昭和57年に採択された「海洋法に関する国際連合条約」は、未発効であるものの、200海里排他的経済水域における沿岸国の海洋汚染に関する取締権限の設定等が規定されており、こうした新たな海洋秩序の下での監視取締業務を的確に実施するため、巡視船艇・航空機による機動的、効率的な業務執行体制の強化を図ることとし、継続分を含め巡視船艇等18隻、航空機4機を整備する。
一方、我が国周辺海域や主要湾において、海洋汚染調査を実施するほか、「海防法」に定める排出海域(A海域)の深海底層流観測等を実施する。
さらに、海洋における有害液体物質の変化プロセスの予測に関する研究を引き続き実施するほか、内湾域の赤潮等の発生に影響を与える海水流動及び物質循環を解明するため、伊勢湾内の海水流動モデル及び水温、塩分等の内層消長モデルの開発・研究を行う。
気象庁においては、海洋バックグランド汚染観測として日本周辺及び西太平洋海域における海洋汚染物質の定期観測を引き続き実施する。
水産庁においては、平成3年度までの北太平洋全域における海面浮遊汚染物の分布状況調査等結果を受け、新たに定線を設け、海面浮遊汚染物等の分布状況調査を行うほか、平成4年度より全世界の海洋に展開する漁船等の協力を得て有機塩素系化学物質、プラスチック粒子、油塊等の地球的規模の海洋汚染調査を実施する。
(3) 排出油等防除体制の整備
海上保安庁においては、海上における油等の排出事故に対処するため、防除資機材を整備するほか、海上災害防止センター、流出油災害対策協議会等の指導・育成を図るとともに、官民合同の大量の油等の排出事故対策訓練を実施する。