4 騒音・振動
騒音は日常生活に関係の深い問題であり、発生源の種類は工場、交通、建設作業、深夜営業、家庭生活に伴う騒音など様々である。例年地方公共団体に寄せられる苦情のうちでも件数が最も多く、平成2年度においても24.6%を占めている。また、振動は、騒音と発生源を共通にすることが多く、その苦情は公害苦情件数の2.9%を占めている(第1-1-28図)。騒音、振動の発生源を苦情件数の内訳で見ると、騒音については工場・事業場が最も多く(37.6%)、建設作業(20.7%)、深夜営業(11.0%)がこれに続いている。振動については、建設作業が最も多く(49.4%)、工場・事業場(33.8%)がこれに続いている。
騒音については、一般居住環境、自動車交通騒音、航空機騒音、新幹線鉄道騒音についてそれぞれ、地域の土地利用状況や時間帯に応じて類型分けされた環境基準が定められ、対策が講じられているが、交通施設周辺における騒音問題への対応が重要な課題である。 自動車交通騒音は、環境基準達成率が年々悪化している。平成2年の測定結果をみると全国の4,585側定点のうち朝、昼間、夕、夜間の4時間帯全てで環境基準を達成した地点はわずか13.3%に過ぎず、逆に4時間帯全てで環境基準を超過した地点は過半数を超える54.2%であった(第1-1-29図)。最近5年間継続して測定を行っている1,056地点の環境基準達成率の推移を見ても年々悪化し、平成2年は初めて全体の1割を下まわる状況であった。さらに都道府県知事が都道府県公安委員会に対し、騒音規制法に基づき、所要の措置を要請する際の基準である要請限度(環境基準より5〜15dB(A)高い。)の超過状況は、4時間帯すべてで要請限度以下であった測定局は全体の69.0%となっている。また超過状況の経年変化を過去5年間の継続測定点(1,056点)において見ると、4時間帯すべてで要請限度を下回っている地点の割合は年々減少し、平成2年は、63.6%と悪化している。
航空機騒音については、東京、大阪、福岡等の代表的な空港周辺において環境基準制定時に比べれば全般的に改善の傾向にあるものの、全ての地点で環境基準を達成している空港は少ない。 新幹線に起因する振動については、各沿線の勧告基準値(70dB)の達成状況を見ると、東海道山陽新幹線沿線では大部分の地域で、東北・上越新幹線沿線では全ての地点で達成されている。一方、騒音については対策の実施によりかなりの改善が認められるものの、環境基準の未達成の地域が依然としてかなり多く残されている。近年、新幹線のスピードアップの計画が進められており、沿線の音環境が悪化しないよう十分な対策が必要な状況にある(第1-1-8表)。
新幹線以外の在来鉄道においても、騒音、振動の苦情が寄せられており、特に昭和63年3月の津軽海峡線、4月の瀬戸大橋線の開通に伴い、鉄道騒音振動問題が発生しており、各種対策が講じられている。