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第1節 

1 地球温暖化対策

(1) 地球温暖化防止行動計画の決定及び実施した施策
 平成2年10月23日、地球環境保全に関する関係閣僚会議は、今後の我が国の地球温暖化対策を計画的総合的に推進するため「地球温暖化防止行動計画」を決定した。
 平成2年度において実施した主な地球温暖化対策は、次のとおり。
? 地球温暖化に係る不確実性を低減させ、科学的知見を踏まえた適切な対策を講じるため、調査研究、観測・監視について、地球環境研究総合推進費、科学技術振興調整費等により諸研究機関・研究者との連携を図りながら研究を総合的に推進するとともに、平成2年10月、国立環境研究所に地球環境研究センターを設置し、調査研究及びモニタリングの推進体制を充実した。
 また、気候データの収集・解析等を行う「温暖化情報センター」を10月、気象庁に開設し、観測・監視体制の整備を行った。
? 温室効果ガス排出の少ないエネルギー供給構造を形成するため、安全性の確保を前提とした原子力開発利用や水力、地熱等の導入利用を推進した。
 また、温室効果ガスの排出抑制のためのより高度な省エネルギー、新エネルギー技術の開発を推進するため、太陽、風力、地熱等の新・再生可能エネルギー技術開発等に係るサンシャイン計画及び燃料電池発電、セラミックガスタービン等の省エネルギー技術の開発を行うムーンライト計画等を推進した。
? 温室効果ガス吸収・固定等に係る技術開発については、7月に設立された(財)地球環境産業技術研究機構等により、二酸化炭素固定化・有効利用技術等対策事業等を推進した。
? 交通機関単体からの二酸化炭素排出低減対策として、電気ハイブリッド自動車の開発等を行った。
? 地球温暖化防止行動計画の周知・普及のため、経済等関係団体、有識者、一般に配付・周知するとともに、地方公共団体に対してもブロック会議等により周知した。
(2) 地球温暖化アジア太平洋地域セミナーの開催
 アジア太平洋地域の開発途上国の地球温暖化への取組を支援するため、アジア太平洋地域18か国の上級行政官、UNEP、アジア開発銀行等の国際機関、さらにIPCC関係者等約200人の参加を得て、「地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」を開催した。
 同セミナーにおいては、IPCC等における検討結果の紹介、地球温暖化問題についての各国及び国際機関からの発表、アジア太平洋地域という観点からの意見交換を行い、研究とモニタリング、対応戦略の形成及び地域内協力について討議内容を総括した議長サマリーが採択された。
(3) 気候変動に関する枠組み条約交渉への対応
 気候変動に関する枠組み条約を1992年の国連環境開発会議までに締結することが国際的に合意されており、1991年2月に第一回の交渉会議が米国において開催された。
 この会議において、今後の条約作成作業を担当する二つのワーキンググループの設置が決定され、それぞれ?二酸化炭素等温室効果ガスの純排出量の抑制・削減、温室効果ガス吸収源の保全強化及び開発途上国に対する支援措置、?法的・制度的メカニズムを検討することとされた。
(4) 気候変動に関する政府間パネル(IPPC)における検討への協力
 IPCCは、1900年8月の第四回全体会合において、温暖化に関する科学的知見等に関する第一次評価報告書をとりまとめた。我が国は、当初より、人的貢献や様々な調査研究成果の提供等その検討作業に積極的に参加してきた。
 なお、1991年3月の第五回IPPC全体会合においては、今後の活動として気候変動に関する枠組み条約交渉を科学的・技術的に支援するとともに、温暖化に関する知見を一層充実させるため、国別の温室効果ガス排出量の評価や気候変動の地域的分布及び影響予測等の検討を行うこととする作業計画が合意された。

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