1 絶滅のおそれのある野生生物の保護
野生生物保護施策の中でも、絶滅のおそれのある動植物の保護は特に緊急を要する課題であり、そのための基礎資料として作成された日本版レッドデータブック等に基づき、次のような保護・増殖事業や調査等を行った。
ア 我が国には2羽、また国外でも中国に20数羽が残されるのみとなっているトキについては、地球レベルでの種の保存が求められている。このため、日中両国共同でのトキ保護増殖事業として、平成2年3月に日本産の雄1羽を北京動物園に移送し、現在、飼育下での繁殖を目指して、同動物園において中国の雌との番?つがい?で飼育を続けている。
また、国内においても平成2年4月佐渡トキ保護センターに近縁のホオアカトキを導入し、人工増殖技術の確立に努めた。
イ イリオモテヤマネコ及びツシマヤマネコについては、保護増殖対策の一環として、冬期間の給餌を実施した。
ウ タンチョウについては、冬期間の給餌を行うとともに監視人を配置した。
また、生息数については、499羽を確認した。さらに、生息特別調査を実施し、191箇所の営巣を確認した。
エ エゾシマフクロウについては、巣箱の設置及び給餌事業を実施した。
オ 土砂流入等により繁殖地環境が悪化している鳥島のアホウドリ繁殖地において、土留め工やススキの植栽等営巣環境の保全のための事業を実施した。
カ 日本版レッドデータブックに掲載された、オジロワシ、エトピリカ、ウミガラス等8種類の日本産の鳥類を、新たに特殊鳥類に追加指定するため、「特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律施行令」を改正した。また、オジロワシ、エトピリカ等について生息状況などの調査を行った。
キ 下北半島のサル、ライチョウについて、監視、生息環境の保全等の保護措置を講じた。
ク ニッポンバラタナゴ、ホクリクサンショウウオについて、保護増殖のための事業を実施した。