4 非意図的生成化学物質環境調査の概要
この調査は、ダイオキシンのように物の製造、焼却等の人為的過程や環境中での反応等の自然的過程において、意図せずに生成する有害な化学物質による環境汚染の実態を把握するために昭和60年度から開始されたものである。平成元年度の調査は、ダイオキシン類(ダイオキシン(ポリ塩化ジベンゾダイオキシン(PCDD))とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)をあわせてダイオキシン類と総称する。)に加え、ニトロソ化合物を対象物質とし、水質(ニトロソ化合物のみ調査)、底質及び生物について全国25地域で実施された。
この結果、ダイオキシン類については、中央公害対策審議会化学物質専門委員会で、次のとおり評価された。
?今回の調査によって見出されたダイオキシン類による一般環境の汚染状況は、現時点では、ヒトの健康に被害を及ぼすとは考えられない。?しかしながら、今回の調査結果は、低濃度とはいえ、一般環境中からダイオキシン類が検出されており、?今後ともその汚染状況の推移を注意深く追跡して監視するとともに、?ダイオキシン類の発生源や環境中の挙動等汚染機構に関する知見や毒性に関する知見の収集に努める必要がある。
また、ニトロソ化合物については、同専門委員会で次のとおり評価された。
?環境中から検出されたニトロソ化合物は、底質について、検出頻度の高いものがみられているものの、検出濃度は低い。また、水質、生物においては、検出頻度、検出濃度とも低い。?ニトロソ化合物の一般環境の汚染状況は、現時点では、ヒトの健康に被害を及ぼすとは考えられない。?しかし、低濃度とはいえ、ニトロソ化合物は検出されているので、今後、一定機関をおいてその汚染状況を監視することが必要と考えられる。