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第2節 

4 1992年国連環境開発会議の課題

 1992年6月1日から12日にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催予定の国連環境開発会議に向けて、世界各国や地域で準備が進んでいる。
 国連地域委員会については、ヨーロッパ経済委員会は1990年5月にノールウェーのベンゲルで、アジア太平洋経済社会委員会は1990年10月にタイのバンコクで、ラテンアメリカ・カリブ経済委員会は1991年3月にメキシコシティーで準備会合を開催し、さらに、アフリカ経済委員会及び西アフリカ経済社会委員会でも準備会合が開催されることが見込まれている。
 地球温暖化問題については、効果的な「気候変動に関する枠組み条約」を1992年の国連環境開発会議において締結することが第2回世界気候会議で確認されており、そのため第1回条約交渉会議が1991年2月ワシントンで開催された。また、世界気候会議は、同時に先進諸国に対し、今後20年及びそれ以降に温室効果ガスの排出量を削減する可能性と対策を検討し、適切な段階的アプローチによる計画、戦略または目標を形成することを求めている。さらに、UNEPにおいて第2回UNEP生物学的多様性法律・技術専門家会合が1991年2月から3月にかけてケニアのナイロビで開催され、また、水と環境に関する国際会議が1992年1月にアイルランドのダブリンで開催が予定されているなど、個別の課題についても検討が進んでいる。
 国連環境開発会議については、1990年12月の第45回国連総会の決議で各国首脳の参加が要請されているが、さらに、その準備段階では国連経済社会理事会に対し助言を行う地位にある関連のNGO(NonGovern・mental Organization=非政府団体)の参加や貢献も奨励されるなど、多彩な会合も準備が進んでいる。
 国連総会決議(1989年12月)においては、主要な関心事項として次の課題が揚げられている。
? 気候変動、オゾン層の破壊及び越境大気汚染に対する取組による大気の保護
? 淡水資源の質及び供給の保護
? 大洋及び閉鎖性・半閉鎖性海域を含む全ての海洋、並びに海岸地域の保護、当該地域の生物資源の保護、合理的な利用及び開発
? 森林の減少、砂漠化及び干ばつの克服による陸上資源の保護及び管理
? 生物学的多様性の保全
? バイオテクノロジーの環境上健全な管理
? 廃棄物管理、特に有害廃棄物及び有害化学物質の環境上健全な管理、並びに有害で危険な製品及び廃棄物の違法な国際取引の防止
? 貧困の根絶、就中、農村と都市の統合開発計画を実施すること及び環境の劣化を断ち切るのに必要なあらゆるレベルの適切な措置を採ることによる、都市スラムと農村地域における貧困者の生活環境及び労働環境の改善
? 人の健康状態の保護及び生活の質の改善
 国連環境開発会議のモーリス・ストロング事務局長によれば、同会議では、地球規模での環境問題に対応するため経済と環境の統合(エコ産業革命)が必要であるといわれており、科学、政治、行政、産業、国民生活のあらゆる分野の人々が協力して、これを達成するためのシステムづくりが大きな課題となるといわれている。
 各地で進められている準備を受け、同会議の具体的な成果として次のようなことが検討されている。
? 気候変動に関する枠組み条約、生物学的多様性保全条約、森林に関する国際的取決め又は合意等の採択
? 環境と開発についての人と国家の行動の基本原則を定め、地球を人類共通の未来のために良好な状況に確保することを目指す「地球憲章」の採択
? 21世紀に向けて実施すべき具体的行動を定めた行動計画「アジェンダ21」の策定
 また、これらの事柄を実行するための手段として、新しい追加的な資金源、技術移転並びに行政的能力及び行政過程の強化についても検討が予定されている。

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