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第1節 

8 国際情勢の変化と日本のリーダーシップ

 国家間の相互依存関係が増大する中で、日本の国際的地位と責任はますます大きくなってきている。米国とソ連の二超大国が中心となった世界秩序からヨーロッパ、日本などが責任を分担する世界へと変化し、経済力にみあった責任を果たすことが現に求められている。
 新しい世界における各国の役割分担が模索されている中で、地球環境問題をはじめとする環境問題の解決に向けて日本への期待には高いものがある。
 第一に、我が国は、特に早くから公害問題に取り組んできたこと等から環境問題に関しての経験が蓄積されており、また、対策技術や資金援助に対する期待も大きい。我が国は、すでに環境の分野において積極的な貢献を果たすことを内外に明らかにし、ODAにおける環境協力の強化は順調に行われている。
 第二に、地球環境問題に関してリーダーシップを発揮することに対する期待である。我が国は、地球環境問題に各国が協調して取り組むよう国際的な合意形成に向けて努力してきた。地球温暖化問題に対しては行動計画を策定して取り組むことを明かにするとともに、地球温暖化防止のための世界的長期ビジョン(地球再生計画)の必要性を提唱し、その姿勢は世界に高く評価されている。野生生物保護の分野でもラムサール条約やワシントン条約の締約国会議等を日本で開催することが決定されている。
 第三に、国際機関との協力関係の強化である。国際熱帯木材機関(ITTO)の本部を横浜市に迎えて、資金協力を含め積極的な支援を行っているほか、UNEPの地球環境技術センターの大阪市及び滋賀県への誘致を検討するなど積極的に取り組んでいる。
 新しい世界の秩序は、湾岸危機の勃発等の不安定性が存在しているが、人類の生存基盤に深刻な影響を与える環境問題に対し、我が国が明確なビジョンを示して国際協力体制を構築していくことに対する期待がますます大きくなってきており、また、地球環境を守る責任も重大なものとなっていることは疑いをいれない。

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