3 騒音、振動
騒音は日常生活に関係の深い問題であり、発生源も多種多様であるため、例年、地方公共団体に寄せられる苦情件数は最も多く、昭和52年においても公害苦情全体の33.6%を占め、平成元年度においても25.6%を占めている(第1-2-17図)。
騒音発生源の種類ごとの苦情件数は、昭和47年においては工場・事業場によるものが62%を占め、次いで建設作業によるものが15%、深夜騒音が4%という順になっていた。平成元年度においても、工場・事業場によるものが最も多く36.5%を占め、次いで建設作業が20.1%、深夜営業など営業によるものが18.9%となっている(第1-2-18図)。
また、振動に係る苦情件数は、公害苦情全体の3.2%を占めており、昨年の3.7%に比べて少なくなっている(第1-2-17図)。振動の発生源についてみると建設作業が49.7%、工場・事業場が31.5%となっている(第1-2-18図)。
一方、一部の交通施設周辺においては、自動車、航空機、新幹線鉄道等の運行に伴って発生する騒音、振動が交通公害問題の大きな要素となっている。
このうち、自動車騒音についてみると、平成元年に測定した自動車交通騒音の結果では、全国の4,596測定点のうち、朝、昼、夕、夜の4つの時間帯のいずれにおいても環境基準を達成している地点は13.4%(昭和63年度14.5%)となお低い。また、昭和60年から5年間継続して同一地点で測定している975の測定点における環境基準の達成率をみると、4時間帯のすべてで基準を超過している地点が57.1%(同56.8%)を占め、前年度よりやや悪化している。さらに、「騒音規制法」に基づき都道府県知事が道路の周辺の生活環境が著しく損なわれていると認め、都道府県公安委員会に対し所要の措置を要請する際の基準として要請限度が定められているが、この超過状況においても、前年より悪化している(第1-2-19図)
新幹線に起因する振動について各沿線の勧告指針値(70dB)の達成状況をみると、東海道、山陽新幹線沿線においては、軌道に近い一定の地点を除いて大部分の地点で達成されており、東北、上越新幹線沿線においてはすべての地点で達成されている。しかし、騒音については、対策の実施によりかなりの改善が認められるものの、環境基準の未達成の地域も相当みられる(第1-2-1表)。
また、新幹線鉄道以外のいわゆる在来鉄道についても騒音、振動に係る苦情・要請が寄せられてきており、特に昭和63年3月の津軽海峡線、4月の瀬戸大橋線の開通に伴い鉄道騒音・振動問題が発生しており、これに対する各種の対策が実施されているところである。
航空機騒音については、東京、大阪、福岡等の代表的な空港周辺において、環境基準制定当時に比べて全般的に改善の傾向にあるものの、すべての地点で環境基準を達成している空港は少ないことから、なお引き続き環境基準の達成のための努力が必要な状況にある。