4 非意図的生成化学物質環境調査の概要
この調査は、ダイオキシンのように物の製造、焼却等の人為的過程や環境中での反応等の自然的過程において、意図せずに生成する有害な化学物質による環境汚染の実態を把握するために昭和60年度から開始されたものである。63年度の調査は、ダイオキシン類(ダイオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)をあわせてダイオキシン類と総称する。)に加え、ポリ臭化ジベンゾ−P−ジオキシン(PBDD)及びポリ臭化ジベンゾフラン(PBDF)を対象物質とし、底質及び生物について全国24地域で実施された。
この結果、ダイオキシン類については、中央公害対策審議会化学物質専門委員会で、次のとおり評価された。
?今回の調査によって見出されたダイオキシン類による一般環境の汚染状況は、現時点では、ヒトの健康に被害を及ぼすとは考えられない。?しかしながら、今回の調査結果は、低濃度はいえ、一般環境中からダイオキシン類が検出されており、?今後ともその汚染状況の推移を注意深く追跡して監視するとともに、?ダイオキシン類の発生源や環境中の挙動等汚染機構に関する知見や毒性に関する知見の収集に努める必要がある。
また、PBDD、PBDFについては、同専門委員会で次のとおり評価された。
?PBDD等はいずれの検体からも検出されておらず、検出限界値及び毒性等の知見からみて、現時点ではヒトの健康に被害を及ぼすとは考えられない。?しかしながら、PBDD、PBDFはPCDD、PCDF類似の物質であり、また、これらの物質についての科学的知見が乏しいことから、?今後、毒性等の知見の収集に努めるとともに、?一定期間をおいてその汚染状況を調査する必要がある。