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第3節 

1 環境管理の推進

(1) 今後の環境行政は、単に現在の公害を防止することにとどまらず、水、大気、土壌、森林などの環境資源を適正に保全・活用するとともに、より快適な環境づくりを目指すことが必要である。
 このためには、地域において自然的社会的条件、地域住民の意向等を踏まえた地域環境の望ましいあり方を明らかにした上、その実現のために、諸施策を総合的、計画的に実施する地域環境管理を推進する必要がある。
(2) このような地域環境管理については、これまで多くの地方公共団体で検討が進められてきており、一部においては、既に地域環境管理計画が策定され、又は計画作成等が進められているところであるが、その内容の充実等を図ることが必要であり、地方公共団体に対し指導、助言を行っていく必要がある。
 このため、環境庁においても、昭和51年度から検討を進めているところであり、元年度には、地域環境管理計画の策定の推進及び円滑な運用に資するため、同計画の運用状況及び具体的施策について調査検討を行った。
 また、地域に存する環境資源を適正に保全・活用する観点から、環境資源情報の整備、地域開発環境配慮指針及びふるさと環境資源活用地域振興計画の策定を行う都道府県等に対し助成を行った。
(3) 首都圏等の大都市圏においては、環境基準の達成率が低いものが多いなど依然として環境の状況が好ましくない一方で、快適な環境に対する住民のニーズは一層高まっている。また、内需拡大等の動きの中で多くの大規模なプロジェクトが計画・構想されており、広域的な観点に立った環境管理の推進が必要となっている。
 このため、引き続き「広域環境資源保全活用調査」において首都圏等の大都市圏の環境資源の適切な保全・活用方策についての検討を実施した。
(4) 都市地域において深刻化している窒素酸化物による大気汚染や生活雑排水等による水質汚濁などの都市生活型公害をはじめとし、現下の環境問題の現状やその保全の重要性を深く認識し、日常生活等の中で環境保全に資するように行動していくことがきわめて重要である。
 このため、環境庁においては、全国の都道府県及び政令指定都市が、地域環境保全活動の基盤整備、地域住民に対する環境教育や普及啓発等の諸事業を実施するために要する財源を安定的に確保し、その事業を継続的かつ着実に実施することが出来るようにするため、平成元年度補正予算をもって、地域環境保全基金の造成に対し、助成を行い、これにより全国各地域における環境保全活動の強力な展開を図った。
(5) 近年、特に都市部等においては、地価の高騰、都市空間の不足を背景として、地下空間の開発の要請が高まり、とりわけ通常土地所有者の利用が及ばない地下空間(大深度地下)を鉄道、道路、水路等の公共的目的に利用するため、関係省庁において制度化の検討が進められている。地下空間の利用に伴っては、地盤沈下、温泉源への影響等環境への影響が発生することが懸念される。
 環境庁では、このうち、特に慎重な配慮が必要な地盤環境への影響について、専門家による「地下開発地盤環境管理検討会」において、昭和63年度より調査を開始した。

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