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第4節 

3 環境保全のための活動に積極的に参加すること

 地域ぐるみの生活雑排水対策、河川浄化や沿道の植栽・美化清掃運動からゴミの集団回収・リサイクル活動など、全国各地でそれぞれの地域の特性に応じて様々な環境保全活動が盛んに行なわれている。中には、政府、地方公共団体、その他の公共機関が主催するものも多いが、むしろ地域の住民が自発的に組織して、それぞれユニークな発想に基づきユニークな活動を展開するものも増えてきているのが最近の特徴と言えよう。また、小さな地区や市民グループにとどまらず、より広域的な組織を作り、あるいはそれらが全国的なネットワークを形成して行なわれる活動も増えてきている。いわゆる環境NGOsである。
 前述の調査結果にも見られるように、環境NGOsに限らず、これまで我が国のNGOsを常に悩ませてきた問題として、組織力の弱さ、専門集団として知識情報、調査研究能力の不足、そしてそれらすべての背景となっている財政基盤の脆弱さが挙げられるが、最近では政府、地方公共団体や民間企業、個人等の出資により設立される公益法人を中心として、各種のNGO活動を資金的に助成する団体も増えてきている。また、特定地域の自然環境や野生生物を保護することを目的としながら、全国から寄付金や出資を募り、その保護や管理運営費用に当てるというナショナル・トラスト(国民環境基金)活動、民法上の公益信託制度、分収育林制度等の活用も国民の間に支持を広めている。
 直接的な活動の目的が、特定地域の環境改善や特定の動植物の保護に向けられているとしても、これらがさらに視野を広げると、必ずや地球規模の環境問題や国際的連帯の必要性の認識にたどり着く。地域の環境問題は地球規模の環境問題にまでつながっており、また、地球環境問題への取組は地域の環境問題への積極的な取組を必要とする。これこそが、「地球規模で考え、足元から行動を」(Thinkglobally, act locally)の実践であろう。現に、こうしたNGOsの中には、活動の領域を海外にまで広め、途上国における野生生物保護のための調査研究活動など、国際協力を積極的に展開するところも出てきており、また、はじめから地球環境問題との取組や国際協力活動を目指して設立される団体もある。
 広く国民一般がこれらの環境NGO活動に参加し、または資金を提供することによって、地域の、さらには地球の環境保全に参加し、積極的に貢献していこうという姿勢を具体的に示すことが重要である。

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