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第1節 

3 その他の環境汚染対策の進展

(1) 大気保全対策
 大気汚染に関してみると、近年、石綿、いわゆるアスベストによる大気の汚染、ひいては人の健康への影響に関する国民の関心が高まってきており、その未然防止のための措置を講ずることが喫緊の課題となってきている。このため、平成元年6月大気汚染防止法が改正され、石綿その他の人の健康に被害を生ずるおそれがある特定粉じんについて規制が行われることとなった。
 また、中央公害対策審議会は、元年12月「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」答申を行い、先に述べた窒素酸化物の大幅削減を図ることに加えて、新たに黒煙の低減と粒子状物質低減対策の導入、軽油中の硫黄分の低減、現行「10モード」等測定法の見直し等を行う必要があるとした。今後、環境庁では、この答申に基づきその具体化のための施策を行っていくこととしている。
(2) 水質保全対策
 水質汚濁に関しては、有害物質による地下水汚染の未然防止及び有害物質の流出事故による環境汚染の拡大の防止を図るため、平成元年6月水質汚濁防止法が改正され、有害物質を含む汚水等の地下への浸透が禁止されるとともに、地下水の水質の監視測定体制の整備、事故時の措置等に関して必要な措置が講じられることとなった。
 また、湖沼の窒素・燐の排水規制は昭和60年7月から実施されているが、平成元年7月に、窒素規制湖沼としては33、燐規制湖沼としては44の湖沼が追加指定された。この結果、排水基準が適用となる湖沼の合計はそれぞれ78、1,066の湖沼となった。
 さらに、トリクロロエチレン等による環境汚染を未然に防止するため、廃棄物処理法施行令及び海洋汚染防止法施行令が平成元年4月に改正され、これらの物質を含む汚泥、廃酸、廃アルカリについて最終処分の基準等が整備された。
(3) 悪臭防止対策
 悪臭防止対策を強化するため、元年9月悪臭防止法に基づく悪臭物質として、新たに畜産事業場等における悪臭公害の主要な原因となっているノルマル酪酸等の4物質を追加指定した。

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