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第3節 

1 地球環境問題に対する関心の高まり

 近年の地球環境問題への関心の高まりのなかで、我が国がその設置を提唱した「環境と開発に関する世界委員会」(WCED)が、1987年2月、東京における最終会合で「持続可能な開発」をうたった「東京宣言」を採択し、同年4月に「OurCommon Future」と題する報告書を公表した。同報告書については、1987年12月、国連総会の場においてこれを基本的に支持する決議が採択された。これを一つのきっかけとして、この問題への認識は急速に高まっている。
 例えば、1988年5月にモスクワで開催されたインターアクション・カウンシル(いわゆるOBサミット)の最終声明で、「環境に対する脅威が、21世紀を迎える人類にとって主要課題の一つである」との指摘がなされ、また、同じくモスクワで6月に開催された米ソ首脳会談においては、地球の温暖化防止などの環境保全に関する共通の関心分野について、両国間の協力を強化することが確認された。
 また、同年6月に開催されたカナダのトロントにおける先進国首脳会議(サミット)では、その経済宣言においてWCEDの提唱した「持続可能な開発」という概念を支持することを明らかにした。また、環境に対する脅威が国境を越えたものになっていることを指摘し、国際協力の緊要性、特にオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(以下「モントリオール議定書」という。)への早急な署名及び締結を促すとともに、国連環境計画(UNEP)による有害廃棄物の越境移動に関する合意への努力や、UNEPと世界気象機関(WMO)の協力のもとでの気候変動に関する政府間パネルの設立を奨励するなど、各分野での具体的な行動を求めた。
 さらに、1988年9月から開催された第43回国連総会の一般演説においては、各国代表が環境問題を本格的に取り上げ、環境首脳会議の開催やUNEPの環境理事会への改組等の提案にみられるように、総じて国際的な取組の一層の推進に向け、積極的な姿勢が目立った。
 また、1988年9月末に西ベルリンで開催された世界銀行・IMF合同開発委員会は、共同声明の中で、世銀が融資を行う場合、環境に対する配慮が今後とも続けられ、改善されることが重要であることを強調するとともに、その具体的内容を年次報告に掲載するよう求めた。

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