環境省自然環境・生物多様性風力発電施設と自然環境保全に関する研究会

風力発電施設と自然環境保全に関する研究会(第1回) 議事要旨


1. 日時

平成19年3月30日(金)10:00~12:00

2. 場所

環境省第1会議室(中央合同庁舎5号館)

3. 出席者

大野 正人
(財団法人日本自然保護協会保護・研究部主任)
大村 昭一
(日本風力開発株式会社執行役員開発本部長)
岡安 直比
(財団法人世界自然保護基金ジャパン自然保護室長)
鹿野 敏
(鹿島建設株式会社環境本部新エネルギーグループグループ長)
古南 幸弘
(財団法人日本野鳥の会自然保護室長)
下村 彰男
(東京大学大学院教授)
長井 浩
(日本大学助教授)
祓川 清
(株式会社ユーラスエナジージャパン代表取締役社長)
原科 幸彦
(東京工業大学教授)
松田 裕之
(横浜国立大学大学院教授)
由井 正敏
(岩手県立大学教授)
上田 隆之
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)
安藤 晴彦
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長)
市川 類
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー等電気利用推進室長)
黒田 大三郎
(環境省大臣官房審議官)
星野 一昭
(環境省自然環境局野生生物課長)
神田 修二
(環境省自然環境局国立公園課長)

4. 議題

(1) 研究会趣旨説明
(2) 風力発電に関する施策の状況
(3) 自然環境保全に関する施策の状況
(4) 風力発電施設と自然環境保全に関する課題等
  [1] 風力発電施設と自然環境に関する提言
  [2] 風力発電が鳥類に与える影響について

5. 議事概要

(1)資源エネルギー庁から資料3及び環境省から資料4に基づいて説明後、質疑応答。

○ 風力発電の導入促進は、地球環境の問題から推進する必要があるが、自然エネルギー全体についての基本的施策の方向性や新エネルギーにおいて風力発電の目標値がどれくらいなのかという点が明らかにならなければ、風力を個別に検討しても本研究会の方向性が明らかにならない。

○ 課題が出て対策が出ると考えるが、論点整理の中には、対策が含まれると考えて良いか。(回答:良い。)

○ 環境影響評価研究会の議論では、戦略的環境アセスメント(SEA)の対象から発電所が抜けたが、風力発電は立地選択がポイントなので、企業の社会的責任(CSR)の観点からSEAを実施すべき。
 風力発電の立地プロセスに関する資料を次回用意して欲しい。

(2)祓川氏から資料5及び古南氏から資料6-1、2に基づいて説明後、質疑応答。

○ アメリカに比べて日本のバードストライクが少ないとの資料があるが、調査方法が統一されていないのではないか。調査方法のガイドラインが必要。

○ オジロワシの風車によるバードストライクは他の要因よりも少ない。どのくらい少ないかを検証したいので、年齢、性比、発見時の死後経過日数等、より詳しい基礎データが必要。苫前でオジロワシの死亡事例が4件あるが、渡りか留鳥か分からないか。DNA解析等によってより詳しい情報が分かると思う。(回答:剖検資料を別途紹介する。)

○ 環境影響評価フロー(資料5p.22)について、実施主体を教えて欲しい。また、有識者の意見聴取、自主的委員会の具体的内容を教えて欲しい。(回答:実施主体は事業者。意見聴取については、自主的委員会、保護団体、専門家から、鳥の種類、バードストライクの可能性等について意見を受ける。最終的には、委員会の決定に従って事業者が実施するという形になる。)

○ 事故事例の公開を前向きな取組として紹介していただき、ありがたい。合意形成の取組などの良い例については評価することで、事業者によるこうした取組へのポジティブなインセンティブをつくることが必要。

○ 風況マップを利用し、景観が良い場所を潰すよりも風況が良く景観への影響が少ない所を立地選定することを検討して欲しい。地球温暖化の影響が懸念される中、景観を守って地球環境、生態系が壊れては仕方がない。

○ 気候変動が2050年までに鳥類にどのような影響を与えるかという大局的な視点からの問題と、風力発電施設の現場で起こっていることへのきめ細かなケアという2つの問題について、Win-Winの状態(双方にとって望ましい状態)をどうつくるかが本研究会の目的と考える。

○ 風力発電を進めていくことが必要。日本では風力発電が少ないが、今から予防的に風力発電施設のガイドラインを設置することが必要。
 風況マップとセンシティビティマップを重ね合わせることは、第一段階である。
 海外調査の事例は参考になるが、日本固有の事情もあるはずなので、その点も考慮すべき。(回答:マップの重ね合わせの件は、今後検討していきたい。)

○ 日本の風力発電導入量は世界的にみても小さい。生息地や自然公園(国立、国定公園だけでなく、都道府県立自然公園も含めて)を入れたセンシティビティマップをつくることが有意義。事業者に対する「避ける場所」の提示は有効。
 今後、風力発電施設の設置が考えられる洋上への進出も念頭に、今のうちから調査・検討を始めるべき。

○ 現地での住民周知が不十分な事例として、NEDOのガイドラインに沿わずに進められているものがある(方法書公開前に調査実施、申請後に評価書を公開)。事業者によって取組に大きな差が見られ、ガイドラインに沿っていなくても補助金の申請が通っていることが問題。次回で良いが、補助金の交付決定についてのチェック体制を教えて欲しい。

○ 時間が限られているので、エネルギー政策における風力発電の位置づけの議論より、いかにバードストライクを防ぐかというような具体的な議論をした方が良い。

○ 景観は定量的な知見を示しにくいものである。国立・国定公園は既にその景観の価値が認められ保護されている地域だが、一方で、生活に関わる、地域住民にとっての景観への影響についても課題であるとの認識が深まっている。これについては地域住民の受け止め方が重要になってくるため、合意形成のプロセスが大切である。事例紹介も含めて、合意形成プロセスの資料を示して欲しい。(回答:立地選定プロセスについては次回整理してくる。)

(文責:研究会事務局 速報のため事後修正の可能性有り)