環境省自然環境・生物多様性ラムサール条約湿地候補地検討会

第3回ラムサール条約湿地検討会議事概要


1.概要

1) 日時:
平成17年5月20日(金)9:00~11:00
2) 場所:
環境省第1会議室
3) 出席者
(座長)
辻井 達一
(委員)
呉地 正行  中須賀常雄  林  正美
(環境省)
黒田計画課長、名執野生生物課長、鈴木課長補佐 他
4) 議事次第
  1. 開会
  2. 記事
    (1)候補湿地の調整状況について(報告)
    (2)COP9以降の課題について
    (3)その他
5) 資料
資料1
候補湿地の調整状況について [PDF 9KB]
資料2
ラムサール条約湿地登録のスケジュール [PDF 20KB]

2.議事概要

【資料1について事務局より報告】

 昨年の9月の検討会以降、候補地湿地のうち既に保護区等が指定されている湿地については、地元自治体、利害関係人等との区域の調整及び賛意の確認を行ってきた。
 また、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定が必要なところは、その指定手続と並行して、ラムサール条約湿地の賛意の確認を行っている。
 現在の進捗状況については、資料1のとおり。資料1の1というところが既に地元自治体と賛意確認の正式文書を取り交わしている湿地である。
 それから、資料1の2の「引き続き調整を要する湿地」というのは、区域の調整が済んでいないとか、利害関係人より最終的なご了解をいただいていないというような湿地である。アンダーラインが引いてあるのは、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定が必要 な湿地である。これら8カ所は、区域調整等の課題がクリアできれば、同意いただける のではないかという感触を持っている。最終的な結論については、本年の秋までに確定する予定。資料1にない湿地については、世界遺産を優先、また湿地をめぐるさまざまな問題の解決を優先していきたいという意向があったので、条約湿地登録までの調整にはまだ時間が必要なため、今回の指定は時間的にも難しいという感触。

委員:この20カ所の名称は、この資料に書いてある名前がそのままラムサール条約湿地の名称になるのか。

事務局:既に地元の賛意が得られている12カ所の湿地については、ここに書いてある名称が地元が希望している名称なので、地元の意向を尊重し、このままの名称で登録する予定。

座長:くじゅう坊ガツル・タデ原湿原は、この平仮名が正式の名前なのか。漢字で書くと2つあるのだが。

事務局:今はヒサズミと書く久住町の方は竹田市と合併したので、九重町だけ残っている。以前からヒサズミと書く久住町と九重町というのと、どっちの字を使うか論争があったが、「阿蘇くじゅう国立公園」と名称変更をする時の平仮名書きを使用した。
また、坊ガツル・タデ原という名前を入れてほしいという地元の意向があったのでこういう名称となった。

【資料2について事務局より報告】

 資料1の1に、既に実際の賛意が得られている湿地については、この資料2の一番左側の流れになる。6月下旬の中央環境審議会野生生物部会に報告をし、ラムサール条約湿地指定の官報告示を行う。
 また、これと並行して、通称RISと呼ばれるラムサール・インフォメーション・シートを事務局の方で作成し、更に英語版も作成し、あわせて外交ルートで条約事務局へ正式に通報するという手続になる。この条約湿地の登録簿の掲載は、11月8日から15 日のCOP9の期間内に行いたいと考えている。
 それから、引き続き調整を要する湿地ですが、既に国指定鳥獣保護区特別保護地区または国立公園に指定されている湿地については、引き続き利害関係人、地元自治体等との調整を進めていく。事前の同意をいただいた時点で、地元自治体の賛意確認の文書を取り交わし、同意が得られれば、9月下旬の中央環境審議会野生生物部会へ報告する。それ以降の手続は既に自治体の賛意が得られているものと同様に進めていく。
 また、引き続き調整を要する湿地のうち、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定が必要な湿地については、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定手続を進めていく。最終的にその手続が順調に進めば、9月下旬の中央環境審議会野生生物部会で鳥獣保護地区特別保護地区の諮問・答申を行い、あわせてラムサール条約湿地指定の報告をする予定。また、ほぼ同時期に自治体の賛意確認を行う予定。それ以降の手続きは同じ。なお、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定が必要な湿地のうち、蕪栗沼・周辺水田と仏沼は、6月下旬の中央環境審議会での諮問・答申をする予定。

座長:引き続き調整を要する湿地の見込みはかなり高いと考えてよいか。

事務局:法律に基づく手続があるので、絶対とは言えない。また区域の線引きをまだやっているところもあるので、確実とは言えない。大きな反対の声が上がっていないところをここに示した。

委員:法的な担保として、今までは基本的に鳥獣保護法をベースにしてやってきたと思っているが、ラムサールの概念自体がどんどん広がっている中で、それに対応するために、今後のことになるが、そういう湿地を扱う、法的な、湿地保全法みたいなものができればいいと思う。もっと積極的に考えていく必要があると思うが、その辺のところはどうか。

事務局:昨年の2回の検討会で法的な担保として、自然公園法に基づく国立公園と国定公園、それから、鳥獣保護法に基づく国指定鳥獣保護区の特別保護地区、それから自然環境保全法に基づく自然環境保全地域、それから、種の保存法に基づく生息地等保護区、これらが担保として現時点では適当ではないかというお話をしたところ。
実際、まだ、鳥獣保護区が多かったが、12カ所のうちで、サロベツ原野については国立公園の特別保護地区、それから、雨竜沼湿原については国定公園の特別保護地区、濤沸湖は国指定の鳥獣保護区、それから、奥日光の湿原、戦場ヶ原、小田代ヶ原、湯ノ湖については国立公園の特別保護地区と第一種特別地域。それから、三方五湖については国定公園の特別地域。それから、串本沿岸海域、これについては国立公園の海中公園地区プラス普通地域。それから、秋吉台の地下水系については国定公園の特別地域。それから、くじゅう坊ガツル・タデ原湿原については、国立公園の特別保護地区と第一種特別地域。それから、藺牟田池については、種の保存法のベッコウトンボの生息地保護区。それから、屋久島の永田浜については国立公園の特別地域。それから、慶良間諸島海域については、国定公園の海中公園地区。それから、名蔵アンパルについては、国指定鳥獣保護区の特別保護地区と。これまで国指定の鳥獣保護区特別保護地区というのをかなり担保に使っていたが、かなり幅広に、いろいろな法規制のものを使ったということになっている。
今、委員から話のあった点については、COP9以降の課題ということで、また先生方の意見もいただけたらと考えている。

【COP9以降についての課題について】

事務局:ラムサール条約候補湿地の選定基準として、今まで日本の重要湿地500をベースに使ってきたが、今後もこの方法でいいのだろうか。また、重要湿地500で抜けているものがあるとか、ご意見をお聞かせ願いたい。

委員:法的な担保を厳格にやっていくと、地域で合意ができていても登録が出来ない。もう少し柔軟に、何らかの管理ができるというようなことが担保できる保証があれば、いいのではないかと思う。例えば、市町村レベルで条例を制定しラムサールの湿地を管理できれば、それを条件として登録ができるように認めれば、その地域のやる気も出てきて、地元の人たちの意識啓発にもなるのでは。

座長:今度のこの候補地についても、今までよりは広い範囲から選定されてきたが、更に広く、イギリスのように個人所有のような小さなものについても考えていってもいいのでは。また、日本の文化的な意味での湿地みたいなものもいいのでは。そうなると、鳥獣保護区という概念から少し違って、別の法規制が必要になってくるかもしれない。

事務局:条約上、登録していくということになると、やはり、国として責任を持って保全が担保できていることが必要だというふうに考えている。
委員が言われたとおり、もし地元で合意ができているのなら、いずれかの国の法規制の網をかぶせることが可能なのではないかと思う。そういう法規制がないと、責任を持って登録することは難しいのではと思う。

委員:世界遺産とラムサールとの関わり合いを教えてほしい。

事務局:沖縄のマングローブの部分については、むしろ地元の意向として、もう少し時間をかけて調整させてほしいということで、世界遺産とは直接関係してない。それぞれに登録していくということではないかというふうに思っている。

委員:沖縄のやんばるの方を世界遺産にということで動いている方がいられるようで、だから、その自然というものも含めてというような話ではないかと、私は思っている。

事務局:日本には文化遺産が10カ所、それから、自然遺産が2カ所ある。全世界で750ぐらいの世界遺産がある。その内訳は、文化遺産が圧倒的に多くて600ぐらい、自然遺産が150ぐらい、複合遺産で文化的にも自然的にも非常にすぐれているのが二十幾つある。
ラムサール条約は、要件に合っていれば、割合登録簿に載りやすい。一方、世界遺産の方は同じ登録だが、非常に厳しい審査がある。それには大きな要件が2つある。1つは世界にたぐいまれな自然の質を持っているかどうか。例えば、同じものが2つあると、2番目はもう登録されないということになる。2番目の要件としては、そういうたぐいまれな資質を持つ自然が十分に将来にわたって担保されていること。琉球諸島については、奄美から沖縄にかけて、まず何が世界的に見てすぐれているのかどうかきちんと整理をしないといけない。それを担保するためにはどういう範囲をきちんと守らなければならないのか。まだまだ情報の整理が必要という段階で、しばらく時間がかかろう。

委員:今のご説明はよくわかりましたけど、ラムサールとの関係が分からない。例えば、今のマングローブも、世界遺産の中の1つの検討になっているわけですよね。

事務局:琉球諸島の世界的な特質は何かというのをかなり詰めなければならない。日本で一番だとか、見て感動した人がいるとか、そういうのは余り通らない。沖縄のマングローブが、あるいはマングローブにいる特別な種が、というようなことをかなり整理をしていかなければ通らない。景観だけがいいからと言って世界遺産にはなれない仕組みになっている。先ほど野生生物課長から話もあったが、ラムサール条約の登録湿地になっていると世界遺産になれないとか、そういったことは全くない。琉球諸島は、例えば西表であるとか奄美も含めてだが、ベーシックな情報を整理して、どこが大事かということを最終的に見きわめていこうという段階で、今は遺産地域の登録に向けての基礎作業というところだと理解している。

委員:今の件とは違うが、確かに重要湿地500カ所の選に漏れていて、なおかつ重要な湿地もある。ベースになるデータだから、湿地タイプのこととか、その湿地の範囲をもう少し検討した方がいいのではないか。それと、候補地に関しては、法的な問題とか地元の理解とか大切なのはわかるが、湿地として重要かどうかというのが第一で考えるべきではないのか。湿地もいろんなタイプ、山地の渓流から海まであるわけだから、バランスよく選ばれればいいと思う。

座長:重要湿地500が選定されてから状況も変わっているということもある。
だから、いわばモニタリングということも必要になってくるのではないだろうかということが1つだと思う。
それからもう一つは、この500でずっとこれから押し切っていいのかどうか、そういうことでは多分ないんじゃないか。これに足りないものとか、あるいは置きかえた方がいいというところがあるかもしれない。そういうことも考えなきゃいけないということだと思う。
それと、もう一つは、根本的にだけれども、ラムサール条約における湿地の概念で1つ非常に大きく変わったのは、人工湿地をもっと重視しろということだったと思う。COP9以降のということになると、いやが応でも、我々も登録湿地に関して人工湿地とか文化ということを加えていく必要があるのではないか。今回でも、地下水系みたいな、非常に特殊なものまで拾われたのだから、そういう面で、ため池だとか水田だとか、それから塩田とか、そういうようなものを含めて考えていく必要が出てくるのではないか。

委員:人工湿地、人間とかかわる形で成り立っている湿地というのは自然的価値からいくと低く見られている。例えば水田は人工湿地だがアジアを代表する湿地でもある。また農地であるが生物多様性の高いポテンシャルを持っている、管理の仕方によって湿地としての価値を大きく引き出すこともできる。今のような生産性だけを重視するやり方を続けていくと湿地としての価値が非常に下がってしまう。アジア型の水田の価値をきちんと評価し、国内だけでなくてアジアに対しての呼びかけも含めた流れを日本からつくっていくことは、すごく大事だと思う。
委員の方には資料をお配りしたが、これはCOP9の次に2008年にアジアで開催される可能性が高いCOP10で、水田の重要性をアジアを特徴づける決議として挙げるための案です。COP10でのアウトプットをゴールに据え、アジア型水田の重要性について具体的に検討にしていくというのは、今やらなければならない仕事だと思う。
例えば、私がかかわっている蕪栗沼では、基本的に田んぼを中心とした登録湿地をめざしています。だから、その名称にも「蕪栗沼・周辺水田」と田んぼがしっかり入っています。地域の人からも水田を湿地としてきちんと評価していることが名前からもわかるようにしたいと声が出ています。これに関連して、13ある日本の登録湿地を調べたら、水田地帯にある登録湿地は幾つかありますが、実質的に水田を含んでいるところはないことがわかりました。コアの湿地だけを登録した場合、その周辺で何かが起きたときにそれを抑えることができません。中心にコアとなる水域があり、周辺にバッファゾーンとしての水田があり、その全体が1つのシステムとして機能する湿地を残すという視点が必要です。具体的には、湖沼周辺の水田も含めて登録湿地にしていくことを意識的に働きかけてやっていくことが、湿地環境を残す上でも重要です。2002年のCOP8のときに、農業に関する決議が初めて出ました。湿地に対してプラスのことは積極的に支援し、マイナスのことはやめさせるか方向を変えさせるという内容の決議です。ラムサール条約自体にも、そのような視点もできているので、それを農業施策と結びつければ、環境を生かした施策を誘導する枠組みとしても使えるだろう。今まではラムサールに登録することによってマイナスにはなりませんよという説明はたくさんあったが、ラムサール条約に登録すると、ほかではできないメリットを生み出す展開ができますよという、明快な説明はこれまではできなかった。水田については今は、ラムサール条約湿地になると、ほかではできない環境を活かした取り組みができるという説明もできるようになり、地域の人の考え方も変わってくる。
 水田の価値を見直し、それと関連して、既にラムサール条約の登録湿地になっている湖沼で、伊豆沼のように水域だけがラムサール登録されているところではその範囲を、周辺の水田まで拡大しようという話し合いを実際に行っている。手続としてはできそうだと聞いてるが、具体的にどういう手続が必要なのか教えていただきたい。

事務局:範囲拡大の例というのは既にある。釧路湿原でも、当初55年に登録したのに加えて拡大している。それから、今やろうと思っているのが厚岸・別寒辺牛湿原。これについても、若干、鳥獣保護区の特別保護地区の拡張を考えており、それについて拡大登録ということを考えている。だから、既に登録した湿地に対して保護規制の拡大をした上で、そこを区域拡張の登録をするという、そういうのは過去にもあるし、できるところ。
 今までご指摘いただいたところ、非常にありがたいコメントだが、文化的な価値あるいは農業の面というのは、ラムサール条約の中でもいろいろ議論されているところだれども、今あるラムサール基準の8つの中にそういった文化的な側面が拾えない。それで、どうやって登録できるのかという疑問がある。例えば蕪栗沼みたいに水鳥の基準で拾えるものについては、現時点でも登録ということができるが、そういった文化的な価値を評価する基準が今の8つには入っていないので、ラムサールの締約国に向けて問題点として指摘していってもいい話なのかなと思っている。

座長:例えば鳥獣保護区であれば、湿地を登録する場合の1つの武器になるけど水生昆虫とか、例えば水田とかは、鳥獣保護法ではカバーできない。だから、例えば、アジアの場合、水田を非常に重要な湿地のとしてとらえラムサールに登録できるようにならないか。これは、今どうしてくれと言っているわけではないが、どこかでカバーしなくてはならないのでは。

事務局:その水生昆虫がもし希少なものであれば、鹿児島県の藺牟田池がそうであるように、種の保存法の生息地保護区で担保できるということはあると思っている。

座長:もう一つは、COP10に向けて、今度はアジアで行われる見込みなので、水田を持ち出すのには非常にいいチャンス。だから、今度のCOP9のときに、ちょっとでもそういうことについて話題を出しておけば、次のCOP10に向けて、アジア諸国内でも水田について含めて考えたらいいのではないかという機運をあげるにはチャンスではないか。
それからもう一つ、これは私の個人的な意見だが、日本の場合、北海道から沖縄まで水田があって、そこに棲む生物は随分違う。それからもう一つは、いわゆる減反による放棄水田をどこも持っており、それが、自然の形に戻りつつあるところがある。水田の原型の湿原が、見られるという状態になっているのではないか。そこには当然いろいろな生物が戻ってくるわけなので、モニタリングをすると、沖縄の水田から北海道の水田まで、出てくる植物も違い、それぞれのところでもって比較してもらったり、保存しておいてもらうと、非常におもしろいデータがとれるのではないだろうか。

委員:とってもいいと思うし、やはり水田とかため池とか、人工的な環境というのは、昆虫が結構多い。むしろ、本当の自然のところよりも多くて、結構水田があることによって、そこの多様性が保たれている。ある意味では人工的な湿地の部分というのは、僕は重要じゃないかなと思っている。
それと、先ほどから言われているような日本独特の文化というか、水田という、景観といったら怒られるのかもしれないけど、そういうものとひっくるめて、何かを訴えていくというのもいいのではないかという気がする。

座長:重要湿地500の中にも水田そのものではないが、ため池群だとか農業用水池みたいな言い方で含めたのも結構ある。
このような水田を含む人工水系をこれからCOP10に向けて、法的な保護のことも含めて考えていかなければならないことである。

事務局:せっかくの機会なので、水田とかため池とか、そういった人工的な湿地を選ぶ場合の選定基準というのは、どんなふうに考えたらいいのかというのを、アドバイスいただけるとありがたい。

委員:昆虫の方から推薦した喜如嘉の水田地帯などは非常に水の豊富なところで、実際につくっている水田があったり、放棄しているところがあったり。ところが、そこにいる水生昆虫の密度とか、数が、やはりほかと比べものにならないぐらい多い。といって、何が珍しいかと言われると、それは困るのだが。水田を含めた水域環境に住んでいる昆虫たちの多様性あるいは数、そういうものが非常にすぐれているなと思って、そういうのもやはり重要。
それと、もう一つの範囲だが、やはり湿地を見るときに集水域とか、そういう部分を一緒に保全していかないと湿地というのは維持できない。だから、そういった範囲の決め方というのも、今後検討していかなければならないのでは。

委員:委員の方のみに配布した資料について説明します。1つは英文のドラフト・リゾリューション・ライスフィールドと書いてあるもので、先ほどの話でいうと今年のCOP9のときに2008年のCOP10についての頭出しをするための素材として、様々な人達とつくり上げたもの。1つのたたき台にして、COP10に向けての田んぼの話を進めていただきたいと思う。
特に湿地環境を活かした田んぼの取り組みとして、冬の田んぼに水を張る「ふゆみずたんぼ」という取り組みが今かなり広がっている。お配りした「ふゆみずたんぼ」のパンフレットは、今までの日本語版だけでなくCOP9の時など、国外でも使える英語版も完成し、今年5月に中国で行われたCOP9アジア地域会合でも活用した。こういう道具を使って田んぼを日本からアジアへ、それから世界へアピールしたいと考えている。宮城県では、今、県知事が自分のホームページに 「ふゆみずたんぼはおもしろい」、というのを書き始め、それに取り組む県全庁的な組織もでき、今年度からいろんな形での取り組みを始めている。
先ほどの話の関連ですが、例えば希少種RDB種の有無では田んぼの価値は評価できない。種類としてごく当たり前にいるようなものだけれど、それが量的にたくさんいたり、多様であったりとか、ということをきちんと評価できる基準をつくらなければならない。
ふゆみずたんぼの取り組みが広がっている宮城県内水田で総合モニタリングを今年と来年行い、その中で、生き物の豊かさを客観的に評価する手法についても検討を行っている。
集水域の話も出ていたが、特に水鳥は広い範囲を移動するわけで、それらの湿地をつないでいく発想はすごく大切だと思う。特に渡りの経路沿いの流域、これは大体、集水域になっているわけだけど、それらを1つのくくりとして考えていくという視点も、中に入れられるのではと思う。

事務局:呉地委員にお伺いしたいんですが、ドラフト・リゾリューションをCOP9の時に出されるということか。

委員:COP9のときにCOP10にこのような決議を出したいという頭出しを行い、それを受けてCOP10に向けての準備を始めたいと思っている。3年後にはこういうのをやりたいというのをあらかじめCOP9の場で予告したいという意味。

事務局:ちょっとよく理解できないが、COP9にこのドラフト・リゾリューションを出されるということか。例えば主文のところに、FAOとUNEPに対して作業結果をCOP10に報告下さいと書かれてあるが、COP9でこれを採択しておかないと、そんなことできない。その辺もう少し教えていただけたらと思う。

委員:たたき台だと思っていただければいい。今の段階ではまだきちっと整理されていないところがある。ただ、水田絡みの決議の中に盛り込みたい、盛り込む必要があるだろうというようなものが、皆さんからいろいろと意見が出ているので、ここに書き込んだ。その中には、ご指摘のとおりの表現等あるが、これはそのまま全部出すということではなく、こういう趣旨のものを考えていきたいということで形にしたもの。ただ、何か形がないと進まないと思うので、その作業するためのたたき台としてつくったもの。余り厳密に、一字一句そのままというふうに考えていただく必要はないと思う。

事務局:わかった。COP9でこの冬水田んぼのパンフレットを配るだけではなく、COP10に向けて何らかの決議が採択されるように準備を進めていきたいということを発言するとか、あるいはペーパーを配りたいというようなイメージでよろしいか。
それと、例えば、ウガンダが会場なので、会場の中でどんなブースがとれるかどうかというのはわからないが、日本として、ぜひブースを設けて、そこの中で取り組みを紹介するようなことをしたいと思っているし、今回COP9で登録されるようなところで、ウガンダまで来ていただける自治体に対しては、ラムサールの事務局長から、直接、登録証を渡していただくというような、セレモニーをやったりということも考えている。
それで、そのブースを政府だけでつくるんじゃなくて、日本の関係者、いろいろな方でつくっていったらいいんじゃないかなというふうに、私、個人的には思っている。そういうところでも、COP10に向けて雰囲気を盛り上げていくということがあるのかなというふうに考えている。

座長:なるほど。
さて、水田の問題は非常に重要だということだが、これはひとまずここまでとしておいて、これだけではないだろうと思うので、どうぞ、何かお気づきの点、あるいはお考えの湿地について、COP9以降どうするか、どういうふうに考えたらいいかということについて、ご意見を伺いたいと思う。

委員:沖縄は湖というのが余りなく、ダム湖が大きい湖のかわりをしている。また、ダム湖の周辺はヤンバルクイナの貴重な動物が生息する山があり、下流には水田が広がっている。そういったなかで、ダム湖をラムサールに含めることができれば、その周囲の森とか下流の水田も当然かかわってくるのではないかという気がする。
それから、先ほど辻井先生がおっしゃっていたが、沖縄では以前放棄していた水田がまた使われる例が部分的に多くなっていて、また、もとに返りつつあるようなところもたくさんある。だから、そこら辺も含めれば、先ほどの水田の話も関連してくるのかなという気がする。
林先生がおっしゃった喜如嘉のところも、イグサをつくっていたのだが、イグサは今、あまりつくられていないなど変わっていて、先の話と同じ。

事務局:そのダム湖についても、ラムサールでいう湿地の中に入っているというのはよくわかっているが、先ほどの水田と同じように、どういう観点でダム湖ないし周辺、それから、下流域の水田というのを評価していったらいいのかというあたりにお考えがあったら、教えていただきたいと思う。

委員:その基準は今のところわからないけど、やはりどういうことを考えながらやっていったらいいか、いろいろな分野の人で検討したらどうかなという段階だ。
ダムは、先ほどお話ししたように、人工的で、アユなども、繁殖している。だから、そういう点も含めれば、魚類、水生昆虫とか、そういう面も全部入るのではないか。
それからもう一つ、先ほどの水田との関連で気になるのは、農作業というか、作物栽培法だ。そういうのも関連してくるので、要するに虫を殺すためにいろいろな薬を使うと、当然、水田に上流の方からいろいろなものが流れてきて、そこの生物相は変わってくるから、ちょっと範囲が広くなるのかなという気もする。

事務局:今の点と違うが、あと残り30分ほどなので、事務方として、ぜひこの機会にご意見を伺えたらということで、幾つか挙げさせていただきたい。1つはCOP9に向けた候補を選ぶときに、ラムサール基準1の各生物地理区において代表的な湿地のタイプとして、9つのタイプ――湿原、河川、湖沼、塩性湿地、マングローブ林、干潟、藻場、サンゴ礁、それから、地下水系という、カルスト。
この9つのタイプを我が国の代表的な湿地タイプというふうにしていただいたが、これ以外にも、何か我が国を代表する湿地タイプというのがあるかどうかというのが1点目。
それから、2点目として、この9つの基準の湿地タイプについて、ある程度のまとまりが必要ではないかということで、我が国を代表するものとして数的な基準をつけたが、その辺、ラムサールの方では小さい湿地も大事だということが言われており、今後、小さい湿地を入れていく際に、我が国を代表するという湿地との関係でどういうふうに考えたらいいのか、ということがよくわからないので、COP9に向けて設定いただいた数的な基準が妥当であったのかどうなのか。
それから、具体的な基準が設定できなくて、専門家の先生の推薦によりました基準3の生物多様性を維持するのに重要である湿地、それから基準4の生活環の重要な段階を支える上で重要である湿地だが、これは余りいいものが思いつかなくて、ウミガメというのを選んだが、そのあたりの検討。それから基準7、8の魚類を支える湿地として重要であるということについて、専門家の先生方によって湿地を選んでいただき、特に選定基準というのは設けなかったが、そのあたりについて、何らかの選定基準があり得るかどうか、ご意見いただけると非常にありがたい。

座長:ということだが、何かお気づきの点があれば、お願いします。
1つは、今の、これ以外の湿地タイプだが、参考資料6にもあるが泥炭地だろうと思う。湿原とは、また別に考えておかなければならない。ただ、泥炭地と言った場合には、分布は限られているから、その中から、非常に特徴的なところを選ばなくてはいけない。
それからもう一つは、規模の小さな湿地。余り小さいものまで拾うと大変だということもあるが、逆に、小さいけれど、それこそ昆虫などでもって非常に特徴なものがいるというのは、少なくないんじゃないか。例えば、湧水地なんかもそうだろうと思う。

委員:先ほどの各湿地の範囲だが、やはり日本は寒帯から亜熱帯まで旧北区から東洋区という、2つの世界の生物地理区にまたがっているので、やはり全然見方を変えていかないとだめだと思う。その1つがやはり湿地の広さだと思う。沖縄の湿地と北海道の湿地というのは、そもそも広さが違うし、狭いから大したことないかというと逆で、狭いところに凝縮するような形のところが幾らでもある。あるいは、ため池群とかそういうところなど、見直していく必要があるのではないか。

委員:話が戻って恐縮だが、地域を指定するときは地元の方の合意をやはり得られるということが大事だと思う。先ほどの話にもでたが、世界遺産との関係なども、もう少しきちんと説明していただければ、地元の方の誤解を受けないのではないかという気もする。
例えば、文化遺産と自然遺産との比率が大変違うということだが、自然遺産にしたらということで、地元の行政をやられる方は、これはもう、やっぱり期待されるわけだ。だから、そこら辺をもう少しきちんと説明していただければ、先ほどの話のようなところは起きないんじゃないのかなというような気もする。だから、先にラムサールの方に入れておいて、それで、その後、遺産の方できちんと検討していただければ、誤解なく進むのではないか。
どうしても、地元の人たちは、そういう期待を持ちますよね。だから、そうなると向こうの方にというようなことを話されているものなので、ちょっと私もそこら辺はわからなくて、さっき説明をいただいて、よくわかった。だから、ラムサールの方に先に入れてもらって、全体的な位置付けは遺産の方で検討してもらうことになればいいのではないかと考えた。

事務局:直接、世界遺産を意識しているのかどうかはわからないが、ひょっとしたらそうなのかなというのが、奄美の住用川のところ、これは54のところに入っていたが、今の保護区は、非常に小さいもので、マングローブもあまりカバーされていないような状況なので、鹿児島県としてはぜひそれを広げていきたい。広げた後で、やはりラムサール登録した方がいいんじゃないかというような調整があった。それが、遺産を県が意識しているのかどうなのかというのはわからないが、調整にもう少し時間がかかりそうだということで今回の20に入っていないものについては、地元として、もう少し保護区を妥当なものに広げた上で将来的にラムサールを考えていきたいと、そんな場所もあったということだ。

座長:もう一つは、先ほど小さな湿地についての検討の話が出た。それをいわゆる500湿地の中からもう一度見直していこう、あるいは、それになくても非常に重要なというのをこれから拾っていった方がいいだろうと思いうが、参考資料4の基準3のところに、「特定の生物地理区における生物多様性の維持に重要な動植物種の個体群を支えている場合」というのがある。ここに「生物多様性のホットスポット」という言葉が出てくるので、これがそうだと思う。
これは、別に大小を言っているわけじゃないが、非常に小さくても重要な生物種が存在するとか、あるいは、ある地域に限定しての多様性、つまり、日本におけるホットスポットをもっと探してもいいのかもしれない。それはいろいろな意味があるだろうと思うが、鳥や魚の場合もあるだろうし、種類としてはいろいろなケースがある。それからここで言っているホットスポットというのは多様性の問題で言っているのだが、ほかのことも適用して考えることができるのではないか。例えば、泥炭地で、これは堆積が進行していない湿原の場合ということだが、そういうところでも非常にユニークな泥炭地などということも含まれるかもしれない。
そういう意味にとらえれば、このホットスポットというのをもっと、この500湿地の中からも、それ以外からも、ちょっと拾ってもいいんじゃないだろうかというふうに思う。小さいという点ではそういうふうな見方もできるだろうと思う。
これ、逆に、どうだろうか、この委員だけでホットスポットに相当するものというのをご意見伺うだけじゃなく、ちょっと広い範囲に問い合わせをして、ホットスポットにどういうものがあるかという、情報をちょっと集めてもいいんじゃないだろうか。

事務局:はい。それは例えば、この重要湿地500にかかわってくださった先生方にアンケートというようなことは可能かと思う。

座長:そうですね。前の検討委員の方に、ちょっと、どうですかという問いかけをしてもいいのではないか。

事務局:その問いかけるときに、「生物多様性のホットスポット」というような、特にそれについて定義せずに問いかけてしまって、よろしいか。

座長:いや、それ以外も含めていいんじゃないかと思う。例えばホットスポットと言った場合には、それが非常に危機的な状況にあるとか、下手すると環境が悪くなって維持できないかもしれないというようなのも、ホットスポットに含んでもいいかと思う。
あと、話は戻るが、文化的というところ。これは言葉としては、再三、ラムサール会議のときに出てきている言葉なので、前にもそういう話が出ていたと思うが、例えば、ヨシ群落なんていうのは、極めてポピュラーなものだが、日本でも、それを使って、よしずみたいなものをつくっているということもあるし、それから、外国だと、例えばそれで家を建てているというようなケースがあったりする。ただ問題は、そこまですると、ことごとく、ヨシの生えている湿地というものを見直さなければならなく、これは大変だというような声も聞いた。しかし、私が言っているのはヨシだけの問題ではなく、単に使っているだけではだめかもしれないが、随分いろいろな形でさまざまなものを歴史的に使っているようなケースや、伝統として生かされているケースがあるだろうと思う。
そういうのを、どこまでどういうふうに取り上げるのかというのは難しいが、どういうものがあるのかというのを拾ってみる価値はあるのでは。例えば、スゲでいろいろなものをつくっているというようなケースがあるが、それは伝統的な工芸だとかさまざまな伝統的行事に使われている。しかも、それが見直されてきているというようなケースもあるだろうと思う。それは非常に難しい。このラムサールの登録湿地でそれをどういうふうに考えるのかというのは非常に難しい問題だが、私としては、何かそういうことを含めて、最近では、カルチャーという言葉であらわしているんじゃないかと思っている。
いかがでしょうか。ほかに、何かご意見があれば伺いますけれども。よろしいですか。

(なし)

座長:何か事務局の方でお話しになることがありましたら、どうぞお願いします。

事務局:今日ご欠席の風呂田先生からコメントをいただいているので、ちょっとご紹介させていただく。ラムサール条約湿地とか鳥獣保護区などの指定に当たっては、管理のビジョンをもっと持つべきだろうというご意見だ。少しご説明すると、環境管理と、例えば湿地内にかかわったNGOなどの関係が非常に難しいのではないかと。サイトの管理方法が、例えば指定の際にかかわったNGOの既得権になってしまうとか、そうなった場合に適正な管理を欠くことがあるのではないかというようなことをおっしゃられていた。
これを解決するためには、モニタリング調査を通じて湿地の機能を評価して、湿地の機能をどのように高めていくかというような視点で、管理方法を調整できる、人材の育成がまずは必要でないかと。それから、湿地は共有財産であるので、共有財産の管理主体なり、そういう視点が必要で、関係者の意見対立があったような場合にはその調整は行政にやってもらいたいというようなお話だ。
また、湿地の機能を発揮していくために適正な管理が行われているというモデル地区をつくってその手法を広めていくというようなことだとか、第三者にそういう管理を評価してもらうというようなこともあるんではないか、というようなことをおっしゃっていた。

座長:今、寄せていただいたご意見の中にもありますが、どうやって保全を担保するかということだ。これは指定した後、誰がどういうふうに管理するのか。個々の場所によって違うわけだから、単純にはできないだろうと思うが、1つは、モニタリングが必要だろう。管理も大事だが、どういうふうに変わっているのか、どういう状態になっているのかということを把握することも、大事なことではないかと思う。
それからもう一つ、ウミガメを1つの対象として分類群に出したが、ほかには何かないかということだ。私としては、カイソウが必要なのではと思いう。カイソウというのは、海の藻の方と、それから、海の草の方だ。これは、ジュゴンなんかも含めて、大事なことだろう。
ほかに何かございませんか。

委員:今のモニタリングのことだが、当然、自然というのはどんどん変わっていくわけで、そういうモニタリングができるような体制をつくっておくというのは不可欠だと思う。これは今、一方で、モニタリングサイト1000というのがあって、いろいろな切り口でモニタリングをやろうということで動いている。そういうものとラムサール登録湿地予定地がどのくらいカバーされているのか、そういうちょっと整理した表等をつくって、もしあるならそれをうまく生かすような工夫をするとか、抜けているところについては新たに体制をつくるとか、そういう形の整理をして考えるというのが必要ではないかと思う。

座長:ありがとうございました。わかりやすい表みたいなものをつくって、みんながよくのみ込んでいるといいんじゃないかということだ。
それでは、ほかにもしなければ事務局にお返ししようと思う、よろしいでしょうか。

【その他】

事務局:多少時間があるので、環境省の者が先日アジアの会合に出席したので、その関係と、あと、先ほどスケジュールというのは湿地登録のスケジュールのお話をしたが、締約国会議に向けてのスケジュールもまた一方であるので、そのご紹介をさせていただきたいと思う。
11月にウガンダのカンパラで第9回の締約国会議が開かれるが、特に国際的な動きについては、まず、つい先日だが、ラムサール条約の中では、締約国会議に向けて、各地域、世界を幾つかの地域に分けられているが、地域ごとに地域会合というのを開催している。
その中に、もちろん日本はアジア地域に入るわけだが、アジア地域会合というのが5月13日から16日まで、中国の北京で開催された。その中では、COP9に向けて地域内の重要な事項というのが議論されたが、例えば地域内の複数の国にまたがる活動の状況なども報告されて、今後どういった方向性で取り組んでいくかというようなことも話し合われた。
例えば、日本に関連する話題としては、昨年12月に起こったが、インド洋の津波への対応とか、日本も中心的にやっているが、アジア太平洋地域の渡り性水鳥保全戦略を今後どういった枠組みに進めていくかというような話とか、あと、アジアのアジア湿地シンポジウムというものが定期的にアジア地域の中で開催されていて、政府だけではなく、NGOが主体でやっているが、いろんな主体のパートナーシップを組んでやっている事例があるが、それは非常にいいことなので今後継続的に開催していこうというようなことで、結構、アジアの中でもいろいろな国際的な取り組みが今後盛り上がるような雰囲気になっている。
1つ重要なというか、非常にホットなニュースを皆さんにお伝えしたいが、そのアジア地域会合の中で、韓国がCOP10の開催地に向けて立候補したいということで、立候補を表明した。地域会合の中では、地域としてぜひ韓国をサポートしていこうということで一致した。今後、正式にはCOP9の中で提案されて、世界中の締約国がどう考えるかということになるが、もし仮に韓国で開催されることになれば、韓国だけではなくてアジア全体の湿地保全の取り組みというのが盛り上がるのではないかということで、それを1つ、日本の中でも契機として使っていけるのではないかというふうに考える。
大体そんなような会議だったが、今後何が起こるかということだが、締約国会議の前に理事会的な会合で常設委員会というのもあって、これが6月の初め、8日から10日まで、スイスのグラン、条約の事務局があるところだが、そこで開催される。
日本はアジア地域の常設委員のメンバー、地域の代表だが、そのメンバーになっているのでそこに出席して、COP9に提出されるいろいろな決議案、前回の会議では46も採択されたけれども、今回は幾つぐらい出てくるのか、まだはっきりとした数字は出てこないが、今のところわかっている決議案の内容とか予算について議論する予定になっている。その後が11月の締約国会議になるが、今のスケジュールでは11月8日から15日まで、ウガンダのカンパラで開催されるということだ。暫定的な議題とかスケジュールについては既に条約のホームページの方に出ているので、ご関心のある方はぜひ英語になるが、チェックしていただければと思う。
皆さん多分気にされているのは、どんな会場で開催されるのかというようなことだが、ちょっとまだ、詳細な事項は、多分6月の常設委員会の中で説明されるものと思うが、私が聞いている限りでは、参加者の宿泊場所はカンパラ市内になるということ。会場の方がその市内からちょっと離れた場所で、ビクトリア湖のほとりということ。市内からシャトルバスで毎日往復するということになりそうだということだ。
参加登録の方はすべてインターネット上で行えるようにするということなので、今後条約事務局のホームページをチェックしていただければ、その中でお知らせが出てくると思う。
皆さんのお話の中に何度か出た、締約国の会議は本当に締約国が主役で条約の決議案もそうだが、条約のいろんな運営面についてもかなり細かい話がされるが、それとは別に各地域、各国でこんな取り組みをやっているというような発表の場というのか、本会議とは別に、サイドイベントというのがたくさん、今までの事例では開催されていて、例えば今回登録される場所についても、そういったサイドイベントの形で、認定証を条約事務局の方から地元の自治体の方に渡していただくというようなセレモニーをやりたいというふうに考えている。その開催については、ただ、ちょっと、会場がどうしても、やっぱりウガンダなのでかなり限られるということで、ひょっとしたら、前回COP8のときよりは、かなり数が少なくなる見込みだという説明を受けている。
最後に、国内の準備事項として1つ重要なものがあって、国別報告書、英語で言うとナショナルレポートというものがあるが、これが締約国の責務として、締約国会議前に条約事務局に提出することが求められている。
今、環境省が中心となって、関係省庁との間で政府の原案を作成しているところ。今後、6月2日にラムサール条約推進国内連絡会議、こちらは、関係省庁、プラス、条約湿地を有している自治体の代表者、あと、NGOの代表者で構成されているが、その連絡会議を開催して、その中で、構成員に対して政府の原案をご説明させていただくとともに、同時に3週間程度のパブリックコメントを実施することを予定している。こういったいい取り組みがあって、ぜひ日本から世界に報告すべきだということがあったら、よろしくお願いする。
それで、最終版については、条約事務局に提出をするとともに、国内でも公表する予定にしている。

座長:どうもありがとうございました。何かご質問ございますか。

(なし)

事務局:それでは、本日は、特にCOP9以降の課題について、いろいろな観点から貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
世界的な状況を見てみると、2,000カ所という目標を立てたが、現時点で 1,400カ所を少し超えたくらいのところで、多分2,000にはとっても届かないのではないかと思いっていて、思うに、COP9以降、世界的にどういうふうな取り組みをしていくべきかという議論がなされるものというふうに思っている。
したがって、COP9での今後のラムサール条約の方向も踏まえて、また、本日いただいた意見も取りまとめて、11月のCOP9が終わった後に、この検討会、もう一度お集まりいただいて、COP9でのご報告をするとともに、COP9以降について、さらに議論を深めていただけたらというふうに考えている。
今後ともよろしくお願いいたします。
本日は、どうもありがとうございました。