環境省自然環境・生物多様性

自然公園法の改正について(平成22年4月1日施行)

1.改正の趣旨

 自然公園制度は、我が国の豊かな自然を代表する傑出した風景地である国立公園等を指定し、自然環境の保全を目的とする他の関係制度と密接に連携しつつ、自然環境を体系的に保全することにより、生物の多様性の確保に寄与しています。

 平成20年6月には、豊かな生物の多様性を保全し、その恵沢を将来にわたって享受できる「自然と共生する社会」の実現を図る生物多様性基本法が制定されるなど、生物の多様性に対する国民的な関心が高まってきています。

 このような状況を踏まえ、国立公園等における保全対策の強化等を図り、より積極的に生物の多様性の確保に寄与するため、「自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案」が平成21年3月3日に閣議決定され、国会審議を経て同年6月3日に公布されました。

 改正された自然公園法は平成22年4月1日より施行されています。

2.自然公園法の改正の概要

(1)目的の改正

 法の目的に「生物の多様性の確保に寄与すること」を追加しました。

(2)海域における保全施策の充実

 海中の景観を維持するための海中公園地区を、海域公園地区に改めるとともに、当該地区内で環境大臣が指定する区域及び期間内における動力船の使用等について、許可を要する行為に追加しました。また、国立公園等の海域内においても、利用調整地区を指定できることとしました。

(3)生態系維持回復事業の創設

 国立公園等における生態系の維持又は回復を図るため、国等が生態系維持回復事業計画を作成し、これに従って生態系維持回復事業を行うとともに、国等の公的主体以外の者についても、環境大臣等の認定を受けて、自然公園法上の許可等を要しないで当該事業を行うことができることとしました。

(4)特別地域等における行為規制の追加

 国立公園等の特別地域において環境大臣等の許可を要する行為として、一定の区域内での木竹の損傷、本来の生息地以外への動植物の放出等を追加しました。

(5)その他

 公園事業の執行に関する規定についての罰則の追加その他所要の規定の整備を行いました。