世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(以下、世界遺産条約)は、顕著で普遍的な価値を有する遺跡や自然地域などを、人類のための世界の遺産として保護、保存し、国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的に1972年にユネスコ総会で採択されました。日本は、この条約の趣旨を望ましいものと考え、世界の文化遺産及び自然遺産の保護の分野における国際協力に一層寄与するという見地から、1992年に締結しました。この条約の特徴は、それまで別々に考えられてきた文化遺産と自然遺産の価値を結びつけて、ともに人類の遺産として同一の枠組みで保護していこうとするところにあります。日本の伝統文化は、古来より気候や風土などの自然と調和しつつ発展してきたものであり、自然と文化の価値を結びつける世界遺産条約の考え方は、日本にとっても非常に意義深いものと考えられます。
日本は、ユネスコ文化遺産保存日本信託基金を通じた文化遺産保存・修復協力や、アジア地域の自然遺産の保護管理協力など、世界遺産の保護のために様々な協力を行っています。
さらに、世界遺産条約締結の翌年の1993年から1999年まで、また2003年からも世界遺産委員会の委員国として、委員会の内外において、世界遺産の保護のために、より一層積極的な貢献をしています。
日本からはこれまでに、「法隆寺地域の仏教建造物」、「姫路城」、「古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)」、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」、「原爆ドーム」、「厳島神社」、「古都奈良の文化財」、「日光の社寺」、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」、「紀伊山地の霊場と参詣道」の10件の文化遺産と、「屋久島」、「白神山地」、「知床」の3件の自然遺産が世界遺産一覧表に記載されています。
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