知床半島は北海道の北東部に位置し、火山活動などによって形成された急峻な山々、切り立つ海岸断崖、湿原・湖沼群などがあり、海岸から標高約1,600mの山頂部までの間には、人手の入っていない多様な植生が連続して存在しています。遺産地域はこの知床半島とその周りの海を含む約71,000haの地域です。
知床に生息するシロザケ、カラフトマス、オショロコマなどのサケ科魚類は、海と川を行き来し、これを餌とするヒグマやシマフクロウ、オオワシ、オジロワシといった大型哺乳類や絶滅のおそれのある猛禽類、海棲哺乳類、海鳥など、様々な生きものを育んでいます。豊富な餌資源と多様な環境を背景として、ヒグマは世界的にも高い密度で生息しています。このように知床では海域と陸域の自然環境が密接に影響し合い、豊かな生態系を形づくっているのです。
さらに知床では、動植物ともに北方系と南方系の種が混在し、地理的位置と多様な自然環境を背景として特異な種の構成や分布が見られます。またシマフクロウ、オオワシ、オジロワシなどの国際的に希少な鳥類の繁殖地や越冬地であり、これらの種の存続に不可欠な場所となっています。
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