環境省自然環境・自然公園エコツーリズム推進に関する基本方針検討会

第1回「エコツーリズム推進に関する基本方針検討会」(議事要旨)


1. 日時・場所

平成19年12月18日(火)13:00~16:00
TKP御茶ノ水ビジネスセンター ホール14A

2. 出席者

<委員>
上原委員、江崎委員、海津委員、桒田委員、齋藤委員、桜井委員、清水委員、下村委員(座長)、鈴木委員、武川委員、中尾委員、真板委員、松田委員、横山委員
<関係省庁>
農林水産省農村振興局農村政策課永嶋課長、国土交通省総合政策局観光資源課水嶋課長、環境省桜井自然環境局長、環境省自然環境局総務課奥主課長、環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室岡本室長

3. 議題

(1) 我が国のエコツーリズムの現状について
(2) 関係者からの意見聴取
(3) エコツーリズム推進に関する基本方針に係る課題及び論点について
(4) その他

4. 概要

 議題(1)(3)(4)について環境省および事務局より説明を行い、質疑応答を行った。議題(2)については、ホールアース自然学校代表である広瀬敏通氏から発表をいただき、その後質疑応答を行った。概要については以下のとおりである。

(1)我が国のエコツーリズムの現状について

  • 委員からの質問なし

(2) 関係者からの意見聴取

 広瀬氏の発表

(3) エコツーリズム推進に関する基本方針に係る課題及び論点について

【質疑応答】

○自然観光資源は、既存の保護地域と重ねて指定ができるのか。また、特定自然観光資源についても同様か。

⇒(環境省)
  • 「自然観光資源」とはエコツーリズムの対象となる観光資源に資するもの全般を指し、「特定自然観光資源」とはその中でも保護のための法的規制措置を講ずる必要があるものとして汚損、損傷、除去などを禁止するものである。
  • 他の保護法令との関係については、現在、関係省庁と調整中であるが、基本的にはすでに他の法令によって同等の保護が図られているものについては、二重規制となるため、特定自然観光資源に指定することはできない。

○ 協議会の設置について、すでに複数の市町村にまたがる協議会が設置されているところでも、分割するなどして市町村ごとに再度協議会を設置して、各協議会で全体構想を作成することになるのか

⇒(環境省)
  • 協議会は市町村ごとに設置する必要があるが、一体として考えるべき地域では、複数の市町村が一体のものとして認定申請をすることができる。現実的にどのように合同で全体構想を作成するかについては、検討中である。

○ 1つの市町村に山と海のように性質の異なる複数のエコツーリズムサイトが存在する場合でも、協議会は一つでなくてはならないのか。

⇒(環境省)
  • 社会的側面、自然的側面の両方を考慮して、個々のサイトで全体構想を策定してもよいし、一体として全体構想を作成してもよい。

○都道府県の役割について、どのように考えているのか。

⇒(環境省)
  • 区域が広域にまたがったり、他の公益との調整が必要な場合など、市町村だけでは判断しづらいところを都道府県の視点からアドバイスしていただきたいと考えているが、どのように記述すべきか今後検討会でもご意見をいただきたい。

【委員からの意見】

<基本方針の考え方>

○ エコツーリズム推進法は、地元の人がうまく活用していくことが期待されるものであり、地元のルールや意見がうまく反映されるようなものにしてほしい。

○ 市町村レベルでも、最初の一歩が踏み出しやすいようなわかりやすいものにするべき。

○ 「なぜ今エコツーリズムなのか」についてわかりやすく記載する必要がある。地球環境問題の視点から、自然と人とのつながりを理解するという目的の記述と、エコツーリズム推進のモチベーションを上げる項目も必要。

○ エコツーリズムは、「規制」か「推進」か、「利用」か「保護」かといった二元論を超えた新たなツーリズムであり、地域が考えた「あるべき姿」を描いていくものであるという基本的な考え方をもって議論を進めていきたい。

○ モデル事業との整合性も含め、基本方針では類型ごとに記述をしてほしい。

○ 一時的には規制によって自然を守ることができるが、エコツーリズムが中長期的には地球環境の保全につながるものであるという視点を持つべき。

<協議会>

○ 里地里山については、生活に密着した場所であるため、スタート段階で地域住民の理解を十分進めることが重要。合意形成には、特に時間をかけ、事業者にも共通の認識が必要となる。

<エコツーリズムを推進する地域の範囲について>

○ 地域の範囲について、最初は合意形成を図りやすいエリアで全体構想の認定を受けようとするケースもでてくると考えられることから、一定の基準としてエリアの目安を記載しておくべき。また、エリアの変更(拡大/縮小)についても記述が必要。

<エコツアーの実施>

○ エコツアーの実施については、旅行者の視点を必ず入れるべきであり、この点についてもっと意識をもつ必要がある。

○ 事業者として最も大事なことは、エコツアーに参加する旅行者を増やしていくことだと思う。エコツーリズムのすばらしさをPRし、まず体験することからスタートし、資源の維持管理などへの理解が深まっていくことを期待している。

○ エコツアーは、「楽しさ」を前提にしないといけない。「楽しさ」を感じるからこそ旅行者が少しずつ自然に対する理解を深めていくのではないか。

<地元住民・ガイドの役割>

○ 里地里山で行うガイドは、専門知識よりも、生活に密着した体験を一緒に行う方が喜ばれる。この点、ガイドの養成が非常に重要である。

○ 観光資源だけでなくガイドや住民などその地域の人の生き様がエコツアーの魅力。「人」という視点も大事であるので、地域の宝探しには、人気ガイドになれる人探しも加えるべき。

○ モニタリングについては、専門家だけでは困難。地域のガイドや住民が参加することが重要である。

<第一次産業との関係・整合>

○ エコツーリズムやグリーンツーリズムを推進していくにあたり、地域の農林水産業の活性化は基礎的な条件であり、配慮が必要。

○ 規制区域で行う農業、畜産業、林業、水産業等の一次産業の負担軽減や、ほ場整備、水路改修等農業等の効率化を図る公共事業などで農家負担があり、環境に配慮した事業を行うことによって生じる農家負担の増嵩部分について協議会や関係市町村など地元でよく打ち合わせできる体制を整備することが必要。

<関係者の連携>

○ グリーンツーリズムなど多様化するツーリズムが個性や役割を認識し、連携していく事が大事。

○ 省庁間の連携だけでなく、省庁と市町村や市町村間の連絡調整も必要となる。

<使用する言葉について>

○ 推進法であるから、「立入制限」という表現でなく「調整」や「調和」といった表現を用いたほうが受け入れやすいのではないか。

○ 市町村からの広い参加を得るためにも、わかりやすい言葉遣いを慎重に検討し、参加が得られやすい方向にしていく必要がある。

<各省の取組みなど>
(農林水産省)

○ グリーンツーリズム推進にあたっては、関係する法律の運用に関して規制緩和を進めているところであるが、旅行者の安全確保との関連もあり、どこをどのように規制緩和すべきなのか、明らかにすべき。

(国土交通省)
  • 観光立国推進基本計画において、エコツーリズムはニューツーリズムとして位置づけられている。ニューツーリズムの推進においては、着地型旅行商品の取組みを市場に流通させるように国が支援を行っている。
  • 早くて2008年10月に「観光庁」が設立される予定で、観光分野での省庁連携をより一層進めていきたい。

(4) その他

事務局より本検討会の今後のスケジュールについて連絡