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Interview 自然系 職員インタビュー
- どんなお仕事をしているのですか
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関東地域の1都9県を管轄し、トキをはじめ絶滅のおそれのある野生生物の保護増殖、増えすぎた野生鳥獣の保護管理、外来生物の水際での防除及び飼養の規制等の業務を行っています。また、本省と現地の最前線にある自然保護官事務所とを結ぶパイプ役としての役割も担っており、佐渡や小笠原など現地のレンジャーと協力して、様々な課題解決に取り組んでいます。 最近のトピックスとしては、都県境を越えて広域に移動するニホンジカ及びカワウの対策の強化や各地で出没や被害が発生しているツキノワグマの保護管理、特定外来生物であるヒアリ類の水際対策、アルゼンチンアリの防除など、人と野生生物との軋轢解消を目指して専門家や自治体、関係機関等と協働して確実に対策を進めることに力を入れています。
- どんなときにやりがいを感じますか
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地域の住民や関係者の皆さんと一緒になって、希少種の保護や外来種の防除等に取り組み、実際にその成果により目に見えて希少種の個体数が回復することや環境改善が図られることにより、地元の方々が喜んでいる声を聞いた時、とても幸せな気持ちになります。
- 本省との雰囲気の違い
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全国にはブロックごとに配置されている地方環境事務所に加え、最前線にある自然保護官事務所等の約100カ所の現地事務所があります。勤務している職員数が100人を越える大きな地方事務所から、わずか数名の現地事務所まで様々です。また、設置されている場所も都会にある事務所から、常に野鳥の声が聞こえるような大自然に囲まれた事務所まで変化に富んでいますが、総じて「自然に近い」、「人との距離が近い」というのが本省との一番の違いであり、特徴だと感じています。
- 地方環境事務所(これまで勤務した現場事務所含む)での印象的なエピソード
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レンジャーの現地勤務は仕事もプライベートも地域密着でとにかく熱いです。 仕事面でのエピソードを一つ紹介します。 以前勤務した現場事務所において、保護区域の拡張を行うため、事前に複数の地権者へ説明し、新たに保護区を指定することの合意を得る調整を行っていました。その中で強い反対意見を持つ地権者の方がおり、繰り返し説明をしましたがなかなか理解を得ることができませんでした。保護区になると開発等の行為規制がかかるため、地権者の方にとっても手放しで賛成することはできないのです。ご自宅へ何度も伺い、保護区を指定することで地域の自然が守られ、地域住民の生活向上や地域振興につながること、自分も地域住民の方々と一緒にこの自然を守っていきたいことなどを真剣に説明し、膝詰めで話合いを重ねました。その後「完全に納得はしないが、保護区の必要性やメリットについてあなたの言うことであれば信じる。」と最終的に合意を得ることができました。対話による信頼関係構築の重要性を認識した出来事であり、今でも強く印象に残っています。保護区はただ指定することが目的ではなく、常に状況を把握して、地域の方々の協力を得て一緒に守っていくことが重要です。反対意見を持っている方に対しても理解を得る努力を惜しまず、働きかけを続けていくことが大切であると経験をもって学びました。 プライベートでは、どこの現場でも生活しているうちにその地域の自然だけでなく、そこで暮らす人や文化や食べ物など、すっかり地元に溶け込んでその地域のことが大好きになりました。地元の方々と、釣りや海・川遊びをしたり、早朝や夜に生きもの観察をしたり、お祭りで踊りながら集落内を練り歩いたり、地域行事のスポーツ大会に出場したり、夜更けまで呑んで地域の未来についてとことん語りあったり・・・熱く楽しい思い出はつきません。ある現場で、地元の方に「しまっちゅ(その土地の方言で地元住民のこと)になった千葉さんが環境省の仕事をしている」と言われたときは本当に嬉しかったです。 転勤をするごとにそれぞれの勤務地が第2、第3の故郷になり自分の人生が豊かになっていく感覚があり、これもレンジャー生活の醍醐味です。
- 学生へのメッセージ
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皆さんにお知らせしたいのは、レンジャーは「現場主義」であり、その仕事の大部分は「人相手の仕事」だということです。転勤の多いレンジャーはよそ者ですが、外から来た人間だからこそ分かる視点、現場を見て実感して分かること、地域の声の代弁者である側面もあり、様々な意味で現地レンジャーの役割は大きいです。
-現場主義
地域ごとに直面している課題は様々であり、次々に新しい課題も発生しています。変化に富んで豊かな自然の中で地域の人と関わり合いながら、現場目線で自分の目の前にある地域や自然のために何ができるかを常に考え、行動していく必要があります。 私は仕事を進める上で何かに迷った時、必ずその案件が起こっている「現場」に行き、様々な方の話を聞き、どうすべきか考えることを大事にしていました。
-人相手の仕事
今も昔も、各地の自然はその地域の人々とともにあり、だからこそ自然保護のためには地域住民をはじめ、様々な関係者の理解と協力が不可欠です。業務の内容から「自然相手の仕事」と思ってしまいがちなレンジャーですが、実は、「人と自然をつなぐこと」が大事な役目です。様々な関係者と話合い、時にはぶつかりながら(案件によっては地域に我慢や負担をお願いすることもあるため)、理解と協力を得て、地域をより良い方向へ導いていく役割を担っています。
現場から日本を変えていく!という熱い志を持った方を全国の現場でお待ちしています。 - これまでの経歴と担当業務の概要
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2002年入省(林学)。本省(自然環境局、地球環境局ほか)や地方事務所(日光、裏磐梯)での勤務を経験した後、2017年に奄美自然保護官事務所へ赴任し、世界自然遺産登録に向けた取組を進めるため、現場関係者と一緒に奔走。その後、富士箱根伊豆国立公園管理事務所を経て、現職。