Interview理工系 職員インタビュー

環境省のアイデンティティとは

 アイデンティティとしては、まず「環境を守りたい」という思いがありますが、これは今日ではどのような組織・立場であっても誰しもが考えることなので、それだけではなくなっていると思います。 環境庁ができた頃は、経済を前に進めることと環境・人の健康を守ることは、ときに二律背反することもありましたが、先人の努力で多くの人との対話の中、環境がいろいろな活動のコアとして、いわゆる「主流化」されるようになりました。 これからは、環境問題解決が、それぞれの地域・組織特有の課題に合わせた形で 同時解決につながるような取組を進める組織でありたいと思っていて、そのために我々の自己変革もどんどん進めていく必要があります。難しさもありますが、やろうと思えばいろんな人と連携して、すごくおもしろいことができる可能性が見えてきている、そんな状況にあると思っています。

これまでで一番思い出深い業務

 <クールビズ> 行政の仕事としては少し特殊ですが、「クールビズ」を軌道に乗せる取組ができたのは、今思うとおもしろい仕事の一つです。 当時の小池環境大臣から、地球温暖化対策でファッションの政策を打ち出すよう指示があり、図書館でファッション系の棚にある本を全部借りて読むところから始めました。 そこでわかったことは2つ、まずスーツは400年かけて磨きに磨かれているため、ちょっとでも形を変えると違和感があるということでした。例えば襟の太さとかボタンの数にも意味があり、スーツ自体のデザインに触れてはいけないことを読み解きました。 もう1つが、スーツは男性が働く場で着るユニフォームだから、例えばサッカーの選手が、野球のユニフォームの方がいいからといって着られるわけじゃない。個人が決められるものではないということが書いてありました。 そこで、前者については、スーツは触らない代わりに、違う涼しいファッションはどのようなものがあるかファッションデザイナーの方と相談し、シャツだけでかっこよくすること、後者については、監督や司令官が「明日からはスーツじゃなくて、こういう格好がうちの制服です」という指令を出してもらうよう、当時の小泉総理や奥田経団連会長から発信してもらうことでクリアできました。 クールビズ誕生には「この方のおかげ」という功労者がいますが、一人でも欠けるとうまくいかなかったと思います。

これからの環境行政についての展望

 環境行政を軸に考えると、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブの同時達成のための政策を打ち出しています。 しかし、もう少し視野を広げると、世の中の様々な課題を併せて解決できる側面が重要で、これを丁寧に拾い、どのような切り口でメリットがあるかを示す政策を進める必要があると考えています。 具体的な話をすると、例えば「運輸部門の脱炭素化のための電動トラックの普及」と考えるのではなく、電動トラックがディーゼルトラックと比べて振動が少なく、車高を低く設計できることからドライバーのストレス軽減につながることや、ドアを開けず荷台に直接行ける動線を確保できることで、1日に何十回も行う作業が軽減できること等は、運送業者にとってはとても重要な業務効率化につながるソリューションです。この観点で訴求すれば、より裾野の広い取組になります。 環境行政の今後の展望としては、各現場で実際には何に困っているかをよく聞き、真剣に考え、ある取組を組合わせることで解決できる糸口となることを進めていくことが重要な取組の一つと考えています。

環境省を目指す人へのメッセージ

 以前の環境省は、マイナスをゼロに持っていく仕事でしたが、今はそこから先の仕事が求められています。ただ、「この人に話すと何か一生懸命やってくれる」という信頼関係の中で、現場の本音が聞けるような仕事をしていくことは今も共通しています。 その上で、ベースとして環境を大切にするマインドを持ちつつも、仕事のやり方や求められる内容が変わってきていて、環境省はそういった変化を恐れない組織だと思います。新しいことをやってみたいとか、まずは動いてみたいと思える人であれば、すごくフィットする組織です。環境省を訪ねてみて、この人たちと働いてみたいと思えれば、是非一緒に働ければと思います。仮に他の企業等に就職しても、今や環境抜きにして活動はできないから、必ずや日本のため、世界のためには貢献できますし、様々な形で環境省も連携できると思います。この観点からも、試しに職員と話す機会を持ってもらうとよいのではないでしょうか。

pagetop