Interview総合事務 職員インタビュー

どんな勉強をしているのですか

 私は現在、ハーバード大学で公衆衛生学(パブリック・ヘルス)を専攻しています。公衆衛生学とは、人々の健康を守り、改善するための科学と定義されます。健康を対象とすることから、その射程は感染症対策に限らず、環境問題にも及びます。
私の具体的な研究内容は2点に分けて説明が可能です。
(1)過去の業務において、意思決定論やデータ分析について学ぶ必要性を痛感したことから、意思決定科学と呼ばれる分野に焦点を当てて費用効果分析を学ぶとともに、データ分析の観点から生物統計学・疫学について学んでいます。
(2)加えて、帰国後の政策立案・国際交渉に役立てるべく、交渉術の理論と実践や気候変動に関する領域学についても日々学んでいます。

大学院での生活はどんな感じですか

 まず、大学院の特徴を述べると、ハーバード大学の公衆衛生大学院は米国最古の公衆衛生大学院であり、世界中から医師、弁護士、各国政府からの留学生、コンサルタント、起業家が集まっています。大学院の下には「統計学専攻」「マネジメント専攻」「疫学専攻」など約10種類の専攻が設けられており、私は「保健政策」を専攻するプログラムに所属しています。私のプログラムには25人が在籍しており、切磋琢磨しながら日々授業に取り組んでいます。
次に、大学院での講義については、具体的事例(ケース)に基づいてディスカッションを中心に進むことが特徴として挙げられます。日々、多様なバックグラウンドを持つクラスメイトと議論し、授業内外で交流を深めることで、これまでの自身の経験を相対化すると同時に、個々の学生が「なぜハーバードに来たのか、そしてこの先何をしたいのか」について明確かつ力強いビジョンを持っていることから、彼・彼女らの貪欲な姿勢から受ける刺激を自身の学びへと昇華させる必要があると感じています。

学生へのメッセージ

 社会問題は複雑かつ多様化しています。環境政策もエネルギー、安全保障、福祉等、社会のあらゆる側面と密接に結びついているため、広い視野から問題を捉え、多岐にわたる専門性を持つ職員がチームとなって政策に取り組む必要があります。これは同時に、学生の皆さんが持つ多様なバックグラウンドと経験が、将来的な環境政策の立案に有形無形に役立つことを意味します。
私自身、学部では環境学を専攻していたわけではありませんが、学部で身に付けた政策分析・社会科学の手法は無駄ではありませんでしたし、これまでもチームで各人が強みを発揮しながら政策課題に取り組んできました。学生の皆さんには、現在の専攻分野や所属に関わらず、環境面から社会課題を解決することに関心があればぜひ挑戦していただきたいと思います。
また、優れた政策立案者であるためには、政策実務に精通することに加えて、現場の声を聴きながら、時代の変化に応じて謙虚に学び続けることが重要だと考えています。私も国際分野を中心に環境政策の立案に貢献するべく、現在のハーバード大学における研究活動に限らず、帰国後も実務・理論の両方について引き続き研鑽を積んでいく所存です。皆さんと働けることを楽しみにしています。

キャリアパス

 2019年環境省入省。
水・大気環境局総務課、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部(戦略班)、厚生労働省健康局難病対策課、環境保健部石綿健康被害対策室での勤務を経て、2023年よりハーバード大学公衆衛生大学院に留学中。

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