エコジン 2016年6・7月号 VOLUME.53

エコジン・インタビュー

脳を無駄に使わないために暮らしの無駄を排除しています。

澤口 俊之

「無駄なことが大嫌い」と言う、脳科学者であり脳科学評論家の澤口俊之さん。
批判的な目を持つことが必要な研究者の世界に生きる澤口さんが、自身で納得して取り入れている無駄のない生活スタイルや、脳と自然の関係について話を伺いました。

 東京の下町に育った、脳科学者の澤口俊之さん。子どもの頃から爬虫類が大好きで、ご本人曰く「佃煮にできるほど」たくさんのカナヘビをつかまえて、親を驚かせていたのだとか。

 「採集が高じてくると、だんだん珍しいものが欲しくなってくるんですよ。だから子どもながらに、いつどこにいけば目当ての生物を獲ることができるのか、いろいろ調べて綿密に計画を立てるようになりました。子どもにとって、好奇心を持つのはとても重要なこと。好奇心から主体性や独創性、やる気が生まれるということは、研究によっても明らかにされています」

 子どもが学校の勉強をしないからといって、好奇心に突き動かされて夢中になっていることをやめさせるなんて、もってのほかというわけだ。もちろんこれは子どもだけでなく、大人に対しても言えること。澤口さんは今でも、子どもの頃の目標だった2m超のアオダイショウを獲ることを夢見ているのだそう。

 脳科学に関して世界中から報告されるさまざまな研究成果や論文などに、精力的に目を通している澤口さんに、自然が人の脳に与える影響について、どのような研究結果が出ているのか聞いてみた。「木々から発散されるフィトンチッドという物質がストレスを緩和させるなど、森林浴による効果は昔からよくうたわれていますよね」と前置きした上で、最近の研究で明らかにされたことの一つとして挙げたのが、「緑の多い自然の中を歩くと、脳の前頭眼窩皮質(ぜんとうがんかひしつ)という部分の活性化がおさまる」ということ。人はネガティブ思考に陥(おちい)ると、同じことをずっと考え、悩みにとらわれてしまいがちだ。こうした反復思考は、脳の中の前頭眼窩皮質が活性化しすぎて起きるのだが、自然の中を歩くと、その働きが落ち着くのだそう。

緑あふれる道を歩くだけで、悩みなんてなくなります。

「悩みが頭から離れない」と自覚したら、自然の中に出かけて歩いてみると、一気に気持ちが楽になるかもしれない。また、緑をある一定量以上目にすると仕事の生産性を高めたり、学力の向上につながるとも言われている。実際に、デスク周りや部屋のいたるところに観葉植物を置き、さながら緑のオアシスのようなオフィスをつくっているIT企業もある。

 最新の研究だからといって、全ての報告をそのまま鵜呑(うの)みにすることはしない。研究者であれば、発表されたことに対して反証できないかと批判的な目で見るのは当然のことだからだ。例えば「仕事の生産性を最も高める室温は、25℃」という研究結果が報告されていても、澤口さんは「夏であればエアコンは、28℃のドライに設定しています」と話す。

 「この研究は海外のものだから、湿度が考慮に入れられていないんですよ。日本のように多湿だとかなり作業効率が悪くなりますからね。だから私は“28℃のドライ”。これが電気代の点でも健康の点でも一番良い組み合わせではないでしょうか。あともう一つ気をつけているのは、頻繁につけたり消したりしないことです。エアコンは運転を開始する時が一番エネルギーを使いますから、窓を開け閉めするなどして温度調節をしています」

 仕事場では自分の周りにしか明かりをつけなかったり、外出の際にはマイ水筒を持ち歩き、ペットボトルの飲料は買わないなど、他人から見ればかなりの“エコ生活”を送っている澤口さんだが、実は“エコ”という自覚はないそう。

 「私は無駄なことをしたくないだけ。しかし、やれば効果が明らかなことに関しては、やるかやらないかで悩んだりしません。だって脳を無駄使いするだけですから」

PROFILE ~ 澤口 俊之

1959年東京都生まれ。脳科学者。高次脳機能、特に前頭前野(前頭連合野)を主に研究。北海道大学理学部生物学科卒業。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。北海道大学医学研究科高次脳機能学分野教授などを経て、現在、人間性脳科学研究所所長。武蔵野学院大学・大学院教授。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)に出演中。『発達障害の改善と予防』(小学館)など著書も多数

写真/千倉志野

今号の特集

特集 ECO生活のススメ

京橋こども園(東京都中央区)にて、楽しく食事をする子どもたち

 地球温暖化に歯止めをかけるため、政府が行っている国民運動「COOL CHOICE」では、身近なところから実践できる、さまざまな工夫やアイデアをオススメしています。

 さあ、明日から、あなたも エコで地球に優しい生活をはじめてみませんか。

COOL CHOICE とは?

日本が世界に誇る、省エネ・低炭素型の製品やサービス・行動など、温暖化対策に貢献する、あらゆる「賢い選択」を促す国民運動です。エコカーを買う、エコ家電にする、高効率な照明に替える・・・温暖化対策のためのこうした取り組みを皆さんに「選択」してもらうため、統一のロゴマークを使い、各界が連携して広く呼びかけていきます。

http://ondankataisaku.env.go.jp/

写真/千倉志野

01 暮らす

省エネというと難しく感じるかもしれませんが、小さなことでも日々の暮らしの積み重ねで、高い効果を生み出すことができます。例えば、毎日使っている照明器具。
耐久性が高く消費電力が少ないLED照明に変えるだけで、今日からあなたも省エネ上手の仲間入りです。

京橋こども園

①一時預かりの子どもたちが訪れるフロアでは、初めて訪れる子どもでも安心できるよう、落ち着いた雰囲気を演出している

②外観写真。外構照明は、植物育成のために必要とされる、1日あたり500ルクスで5時間点灯している(写真提供:清水建設株式会社)

③建物全体で約1,400m2の緑化を行い、子どもたちが緑に囲まれた環境で過ごせるようにしている

子どもたちが快適に暮らせる空間づくり

 ここは0歳児~就学前までの子どもたちを預かる認定こども園。ビルと高速道路に挟まれた一画に建っているが、大きな窓からの採光とLED照明で、子どもたちの活動にフィットした心地よい空間が生み出されている。

 天井に設置された照明は、家庭用のアクリルカバーを用いた安価なシーリングライトを使用している。

 「家庭用なので使い方はとてもシンプル。光色と明るさを手元のリモコンで簡単に調節できます。複数の照明が設置されていますが、個別に操作できるので、部屋の奥を暗くして、手前を明るくするといったことが可能です」と、照明設置を担当した「ライティングM」の森秀人代表は話す。昼寝をする際はライトを消すが、起きてしまった子どもは同室内にいながら、保育士と一緒に灯りの下で過ごすことができるなど、使い勝手が良いと職員にも好評だ。

 また特徴的なのが、緑をライトアップするLED照明を植物の育成照明としても利用していること。京橋こども園では壁面やピロティに植栽を施しているが、建物の奥などは日照が足りないため、照明を当てることで緑の生育をサポートしている。

 LED照明を効果的に取り入れたことによる省エネ性はもちろん、その空間で過ごす人たちの快適性も最大限に考慮した好例といえる。

CHALLENGE! “暮らす”編

LEDインテリア照明を作ってみよう

大きさやデザインなどもバラエティ豊かで、インテリアとしての使い道が広がっているLED照明。自分好みの手作り照明を取り入れて、素敵で環境にも優しい生活をはじめてみましょう。

アドバイザー・番匠智香子さん

DIY アドバイザー。生活総合情報サイト「All About」などでガイドを務める。

準備するもの

LEDライト/ソケット/ケーブル/ケーブルクリップ/木工用ボンド/木製円板/風船/お好みのレース

STEP 01

風船にレースを貼り付ける

少し水を加えて溶かした木工用ボンドを、ハケを使ってレースの片面全体に塗り、風船を覆うようにレースを貼り付けていく。レースの端が少しずつ重なるように貼るのがポイント。

STEP 02

乾いたレースを風船から剥がす

下の方は少し空けておき、レースを風船に貼り付けたら、ボンドが乾燥するまで約1日待つ。レースが固くなったら、少しずつ風船の空気を抜きながら、レースと風船を剥がしていく。

STEP 03

ライトにかぶせれば完成!

木製の円板にLEDライトを固定した台座の上から、レースのランプシェードをかぶせれば完成。レースから漏れる優しい光が、部屋のアクセントにぴったり。

他にこんなコトも! COOL CHOICE 3 IDEA

カーテンを有効利用する

夏は外からの熱気を、冬は冷気をカーテンでシャットアウトすれば、冷暖房の効率がアップします。上手に使うことで、カーテンは暖房にも冷房にもなるのです。

時短料理を心がける

一つの鍋やフライパンで段取りよく料理したり、グリルで違う食材を一緒に焼いたり。ガスの使用時間を減らす時短料理は、CO2も少ない料理になるのです。

「節湯」で水とエネルギーを節約

家で一番エネルギーを使用しているのは給湯で、全体の約31%を占めています。お湯を節約する「節湯」は、水だけでなく、水をお湯に変えるエネルギー両方の節約になります。

写真/(京橋こども園)千倉志野、(CHALLENGE!“暮らす”編)kuma

02 買う

日本全体のエネルギーのうち、約20%は家庭において消費されています。
家庭でどのようにエネルギーが使われているかを知ることや、日々省エネ化が進む家電を賢く購入することは、エネルギー消費の大幅な削減につながります。

うちエコ診断

暮らしに合わせたベストな省エネを

 環境省では2014年度から、各家庭のライフスタイルに合わせた省エネ・省CO2対策を提案するサービス「うちエコ診断」を実施している。家族構成や光熱費などの情報を提出すると、資格をもった「うちエコ診断士」が専用のソフトを使って受診家庭のエネルギー使用状況を診断。地域や住まい方など、家庭によって効果的な温暖化対策は異なるため、診断結果をふまえて各家庭の状況に最適なオーダーメイドの対策を提案する。

 これまでに全国で約62,000件の診断を実施。診断をふまえた対策を取り入れた家庭では、1世帯あたり平均で約1t/年のCO2削減効果が表れている。

INFORMATION・うちエコ診断
URL : http://www.uchieco-shindan.go.jp/2015/

うちエコ診断でこんなコトが分かる!

CHECK 01
CO2の排出量を確認

エネルギー消費状況や光熱費を「見える化」し、他の世帯をめやすとしてCO2排出量を比べることができる

CHECK 02
具体的な削減目標を設定

エネルギー消費量の削減と光熱費の節約という2つの観点から、どこまでCO2排出を抑えるのか目標を設定

CHECK 03
CO2の排出内訳を知る

CO2の排出内訳を分析し、「どこから、どのくらいCO2が出ているか」をチェック。給湯や暖房など、エネルギーを使いすぎている場所が把握できる

CHECK 04
暮らしに合わせた対策を検討

うちエコ診断士がデータをふまえて、ライフスタイルに合わせた具体的な対策を提案。対策を取ることで、CO2排出量・光熱費がどれくらい下がるのかが分かる

CHALLENGE! “買う”編

家電を買い換えてみよう

家電の省エネ性能は昔に比べて格段に向上しており、省エネ家電を購入することはとても大きなCO2削減になるのです。
いま使っている製品と、最新の省エネ製品の消費電力量などが比べられるシミュレーター「省エネ製品買換ナビゲーション“しんきゅうさん”」を使って、上手に家電を選んでみましょう。

アドバイザー・しんきゅうさん

省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」のマスコットキャラクター

しんきゅうさんを使ってみよう!
http://shinkyusan.com/index.html

STEP 01

比べたい製品を選ぶ

テレビ、冷蔵庫、エアコン、温水洗浄便座、照明器具の5つの製品から、比較したい製品を選択する。

そろそろ冷蔵庫を買い換えたいな。冷蔵庫を診断してみようか

STEP 02

いま使っている製品情報を入力

いま使っている製品の情報(購入年、サイズなど)を入力する。

       

購入年は2006年、定格内容積は401~450Lで…

STEP 03

購入予定の製品情報を入力

購入を予定している製品の情報(メーカー、サイズ、型番など)を入力して、「比較する」をクリック。

定格内容積はいまと同じ401~450Lで、メーカー・型番はこれにしよう

STEP 04

比較結果が表示される

年間での消費電力量、電気代・水道代、CO2排出量・吸収量の比較結果が一目見て分かる形で表示される。

年間の電気代は約10,000円、CO2排出量は約200kgも違うんだ! これは早く買い換えないと!

他にこんなコトも! COOL CHOICE 3 IDEA

省エネラベルで家電を選ぶ

家電製品を買う時は、法律で定められた省エネ基準に対して、どれだけの省エネ性能かを示した「省エネラベル」を参考にしましょう。★が多いほど省エネレベルが高くなります。

断熱改修でエコな住宅に

外壁や屋根・天井、床を断熱改修することによって、冬は暖かく夏は涼しい快適な住空間に。冷暖房の効率が向上することで、エネルギー消費やCO2の削減につながります。

エネファームを家庭に

天然ガスから取り出した水素と、空気中の酸素で電気をつくり、その時に出る熱をお湯として利用する家庭用燃料電池「エネファーム」を取り入れましょう。

03 28℃で過ごす

室温28℃でも夏を快適に過ごすライフスタイル「クールビズ」。
ファッションだけでなく、暮らしのさまざまな場面で工夫をこらすことで、涼しく過ごすことが可能になります。
省エネにも、そして節約にもつながるライフスタイルのアイデアをご紹介します。

ダイキン工業株式会社
フーハ東京

エアコンを使いこなして涼やかな夏を

 空調のトップメーカーであるダイキン工業のショールーム「フーハ東京」(東京都新宿区)。ここでは最新型のエアコンを見学しながら、節電術などについても教わることができる。

 「エアコンは進化しています。新型に買い換えてエアコンまかせの運転をした方が、省エネになる場合が多いと思います」と空調営業本部の長内美鶴さんは説明する。例えば、クールビズで推奨する室温28℃でやや暑さを感じたとしても新型のエアコンには、設定温度を下げなくても湿度を自動で調整して快適さを高めたり、やわらかな気流で涼しさを感じやすくするなど、快適に過ごしやすい空間を与えてくれる機種もある。

 とはいえ、買い換えが難しい場合は、さまざまな工夫で節電を試みてみよう。まずは室内環境を整えることが大切。熱は窓などの開口部から多く侵入してくるので、日中でもカーテンを閉めたり、窓に遮光フィルムをはれば、エアコンの稼働率を下げることが可能だ。またエアコンは電源を入れた直後に電気を多く使うので、外出先から帰ったらまず窓を開けて、室内にこもった熱気を外に出してから窓を閉めてエアコンをつけるようにするだけでも節電率が高くなる。

エアコンの室外機周囲の風通しをよくすると熱がこもらないため、消費電力が少なくてすむ

 室外機も見逃せない。室内の熱を外に放出する室外機の吹出口周辺に熱がたまってしまうとたちまち効率が落ちてしまう。物を置いたりせず、さらによしずを立てかけるなどして室外機周辺の温度を下げるようにすれば、省エネに効果的だ。

 ダイキンが一般家庭で行った実験によれば、いつもよりエアコンの設定温度を2℃高くし、カーテンを閉めて、室外機周辺の風通しを良くし、フィルターをきれいにするだけで約15%も節電することができた。この夏は、省エネ家電を購入したり、少しの工夫で大きな効果が得られるように使い方を見直して、賢く夏を乗り切ろう。

INFORMATION・フーハ東京
URL : http://www.daikin.co.jp/fuha/tokyo/

CHALLENGE! “28℃で過ごす”編

クールビズの着こなしにチャレンジしてみよう

オフィスでのTPOに合った、「きちんと」感を保ちながら涼しく過ごせる夏のスタイルをご提案します。

アドバイザー・[紳士服]日本橋三越本店紳士用品雑貨 髙村亮児さん、[婦人服]日本橋三越本店ミグジュアリー 加藤真由美さん

[ 紳士 ] モデル:福島成博さん/ジャケット(EADEM)、シャツ(カミチャイオ)、パンツ(PT01)、肌着(シーク)、シューズ(CERVINO ITALY)

MEN'S

POINT.1

ジャケット着用時でも快適に過ごす

クールビズでもオフィスでのTPOはわきまえたいもの。速乾性に優れた「クールマックス」素材のジャケットは夏でも快適な着心地を実現でき、手に持ったときも軽いのが特徴。

POINT.2

洗濯できて形も崩れにくいウールパンツ

ビジネススタイルに適したサマーウールパンツは、実は洗濯ができて、簡単なアイロンがけで形が整うすぐれもの。さらっとした着心地で、不快感なく過ごすことができる。

POINT.3

ノーネクタイでも決まるシャツスタイル

ノーネクタイでも、襟の高いシャツを選ぶとカジュアルになりすぎない。また、第1ボタンと第2ボタンの間にスナップボタンがあると、襟もあきすぎず自然な形に見える。

[ 婦人 ] モデル:木本真衣さん/オーダーシャツ(La montée de Vague for order)、スカート(Lamontée de Vague Noble)

LADIE'S

POINT.1

通気性の良い天然素材のシャツ

吸湿性に優れ、通気性も良い綿や麻の天然素材を使用したシャツを着用。麻は肌触りがさらっとしているため、夏でも快適に過ごせる。色は清涼感のある白やブルーがおすすめ。

POINT.2

フィットしたサイズ感で、きちんと感を演出

シャツ一枚で過ごす夏だからこそ、自分に合ったサイズで着ると「きちんと感」が演出できる。ボディサイズや生地などが選べるオーダーは、より体にフィットするので気軽に挑戦してみて。

POINT.3

ひねりのある柄スカートで、“脱シンプル”

シャツとスカートの両方が無地だと地味に見えてしまう可能性が。カモフラージュ柄スカートは、オフィスでも違和感なくおしゃれのアクセントとして活躍してくれる。

他にこんなコトも! COOL CHOICE 3 IDEA

季節に合ったインナーを選ぶ

夏は涼しく、冬は暖かく。季節に合わせた快適なインナーウェアを選んで、身も心も快適に。オフィスではシャツの色に合った肌着を選ぶと、ジャケットを脱いでも透けづらくて◎。

日傘で日陰を持ち歩こう

帽子や日傘など、太陽の光を防ぐ小物使いで暑さをしのぐ工夫を。UVカット率や遮光率の高い機能素材の日傘なら、日差しが強い日中でも快適に過ごせます。

浴衣は、着る人も見る人も涼しくしてくれる

着物は四季のある日本の気候に適した服装です。夏は見る人にとっても涼やかな浴衣でお祭りや打ち水に出かけることで、暑い気温でも楽しく、涼しく快適に過ごすことができます。

写真/石原敦志

04 出かける

私たちの日々の生活の中で「移動」に伴うCO2排出量は、生活全体の約4分の1を占めています。
でも、例えばエコドライブを心がければ、環境だけでなく経済的にもメリットが……。通勤・通学・買い物・旅行など、あなたの「お出かけ」を見直してみませんか?

ファインモータースクール

①「楽エコ講習」の様子


②小学校でのエコドライブ出前授業


③「エコドライブチャンピオンシップ2014」では優勝を果たした

運転免許を取得した時点で誰もがエコドライバーに!

 埼玉県内で3校を展開するファインモータースクールでは、2008年に国内の自動車教習所として初めてエコドライブ教習をスタート。教習で学んだことを実践すれば、燃費が平均で約20%向上するという。

 「エコドライブを身につけるためには、講習会に参加するのが一般的。しかし同じ場所で継続的に実施していることが少ないため、受講しにくいのが現状です。そこで当スクールでは、免許取得教習の中にエコドライブの要素を組み込んだ独自のカリキュラムを開発し、「楽エコ教習」と名づけて、免許を取得する人に提供しています。この教習によって免許取得段階でエコドライブの知識や技能を身につけることができ、卒業時には環境に配慮したエコドライバーになることができるのです」(開発チーム・古田秀人さん)

 同スクールでは安全を第一に考え、「安全性向上のためのエコドライブ技術」を教えているのが特徴。すでに運転免許を持つドライバーに向けては、半日でエコドライブの知識や技術が学べる「楽エコ講習」も実施している。

 同スクールでは、小学生向けにエコドライブをテーマとした寸劇を上演したり、教習料金の一部を森づくり活動に寄付するなど、多様な普及・啓発活動を行っている。こうした取り組みが評価され、昨年は「地球温暖化防止活動 環境大臣表彰」において、環境大臣賞を受賞した。今後について、古田さんはこう語る。「エコドライブや安全運転に対する知識・技能を、国内すべてのドライバーに普及させることを目指しています。誰もが身近なこととして実践できるよう、これからも研究・開発を進めていきたいですね」

INFORMATION・ファインモータースクール
URL : http://www.fine-motorschool.co.jp/

CHALLENGE! “出かける”編

エコドライブにチャレンジしてみよう

エコドライバーになるには、特別な知識や高度な技術は必要ありません。できることから実践してみましょう。

アドバイザー・ファインモータースクール大宮校 古田秀人さん

STEP 01

タイヤの空気圧は、こまめにチェック

タイヤの空気圧が標準よりも低いと、転がり抵抗が大きくなって燃費が悪化する。ガソリンスタンドで2週間に1度はチェックしてもらおう。

タイヤに最適な空気圧は、運転席のドア枠のところに記載があるので自分でもチェック!

STEP 02

エアコンの使用は適切に

エアコンの「A/Cスイッチ」は冷房と除湿のためのもの。冬場の暖房使用時にはオフにすることで、コンプレッサを作動させるための燃料を節約できる。

STEP 03

発進時には「ふんわりアクセル」

ゆるやかな発進を心がけるだけで、発進時の燃料消費は約10%節約できる。「発進後、約5秒で時速20km」を目安に、ふんわりとアクセルペダルを操作しよう。

STEP 04

ゆとりのある車間距離

走行中は2秒以上の車間距離を保つことを心がけよう。車間距離が短いとムダな加速・減速の機会が増え、約2~6%も燃費が悪くなる。

他にこんなコトも! COOL CHOICE 3 IDEA

カーシェアリングをしよう

1台の自動車を複数の会員が共同で利用するカーシェアリング。利用時間に応じて料金を支払う経済的なシステムです。必要な時だけ車を使うようになるため、エコにもつながります。

みんなで一緒にバス旅行

電車やバスなどの公共交通機関は、CO2排出量が少ない移動手段です。通勤や通学はもちろん、旅行やちょっとした外出なども電車やバスを利用して、移動をエコにシフトしましょう。

自転車が多い街は、環境に優しい街

借りた場所だけでなく、別の場所でも返却ができる「コミュニティサイクル」。日本では、観光地などの温暖化対策の一環として導入されています。運動になって健康にも効果的。

写真/大河内禎

ecoMASTERへの道

“家事えもん”こと松橋周太呂のめざせ!ecoMASTERへの道

エコ初心者のお笑い芸人・松橋周太呂さんが、あらゆるエコな体験をしながら、“エコマスター”を目指すこのコーナー。
各分野の“師範”から、エコの真髄を教わります!

本日のお題:【初級編】
夏のエコライフを実践してみよう

MOVIE(05:07)

動画はこちら

夏をエコに乗り切る工夫を学ぶ!

 夏の暑い日には、ついついエアコンのスイッチを押してしまいがちですが、極端に低い温度設定は、体だけでなく地球にも優しくありません。
そこで今回は、エアコンに頼らず、涼しくエコに夏を過ごす4つのアイデアを、「エコギャラリー新宿」の高間佳子さんに教えてもらいます。

チャレンジャー

松橋 周太呂さん

掃除・洗濯・料理などを得意とし、「掃除検定士」や「洗濯ソムリエ」の資格も取得する、家事大好き芸人。「あのニュースで得する人損する人」(日本テレビ系)では、独自の家事テクニックを教える“家事えもん”として活躍中。

本日の師範

高間 佳子さん

「エコギャラリー新宿」センター長。
環境学習コーディネーターとして、地球に優しいハッピーな暮らしを送るための手助けをしている。

INFORMATION・エコギャラリー新宿
「新宿区立環境学習情報センター」と「新宿区立区民ギャラリー」の複合施設。快適環境のまちづくりをめざし、子どもから大人まで、新宿区民・事業者・行政の「連携と協働」の活動拠点として、環境関連の各種講座やイベント、人材育成などを行っている。
URL : http://www.shinjuku-ecocenter.jp